【経済データを読む】所得を考える

 7月5日に2010年の平均所得統計が発表されましたが、1世帯当たり538万円と前年比11万6000円減となり、1987年以来の低水準でした(表1)。最も所得が高かった1994年から126万円減、そして平均所得以下の世帯数が61.1%。特に18歳未満の子どもを持つ世帯が39万円減と苦しい状況で、65歳以上は7000円減の307万円になっています。実際の生活意識調査結果(2011年7月)を見てみると、生活が苦しい世帯が61.5%と2010年の59.4%から2.1%増えて過去最高になっています(表2)。内訳を見ると「大変苦しい」29.1%、「苦しい」32.4%、「普通」34.7%、「ややゆとりがある」3.4%、「大変ゆとりがある」0.5%となっています。

 2010年の全世帯数4863万8000世帯(厚生労働省)で推計してみると、大変苦しい層は1415万世帯、大変ゆとりがある世帯は24万世帯となります。また7月9日に国民年金加入者の平均年収を初めて調べた結果が報告されましたが、159万円と年金受給者の189万円を下回り、54.7%が年収100万円以下という悲惨な結果も報告されました。第1号被保険者2154万人(2000年度、厚生労働省)で推計すれば1178万人が年収100万円以下ということにもなります。

 普通の値段のものも買えない層の増加によって消費が上向かない、日本の現状を端的に示すようなデータです。

表1 平均所得統計・表2 生活意識別にみた世帯数の構成割合

「中小企業家しんぶん」 2012年 7月 25日号より