Ⅱ 経営理念を実践する過程 (1)自社をめぐる情報収集と分析

【社員とともにめざす企業像へ変革を~企業変革支援プログラム ステップ2】8

同友会の活動

 神奈川同友会では例会が始まる前に、『同友会がわかる』24ページから次の文章「ウチとは業種も規模も違うから」「あの人だからうまくいっただけのこと」を引用して謙虚に学ぶ姿勢を毎回確認をしています。また、グループ討論のまとめとして、「1.報告で学んだこと。2.グループ討論で学んだこと。3.明日から実践すること」の3点を求めています。

 このことは情報収集、分析の基本的スタンスにもいえるのではないでしょうか。経営者として経営方針、計画を作成するにはあらゆる角度、固定観念に捉われることなく内部環境、外部環境の情報収集、分析をすることが求められています。往々にして業界や限られた情報源に頼ったり横並びになっていないでしょうか。また、外部のコンサルタントにお任せではないでしょうか。

 昨今の経営環境は多岐にわたりそれぞれが複雑に影響を与えあっています。営業担当の些細とも思われる情報が会社の方向性を決める岐路となること、工事現場でのお客様と何気ない会話が新しい商品のヒントとなること。それをいかに的確に経営情報として経営方針、計画に反映できる仕組みを作るかが求められています。そして迅速な行動にしていかなければなりません。

企業変革支援プログラムの活用

 ステップ2変革項目が問いかけていること(59ページ)を検証しながら自社の取り組みを一歩一歩確実に押しすすめてください。経営環境は絶えず変化しています。ステップ1は年に1度と限定することはありません。世の中の動き、経営者の心理状況の変化により立ち位置が変わっていることがあります。冷静に判断するのがステップ1です。変化に気づいたことを軌道修正するのがステップ2です。

 例会に際して「あの報告者の話しは聞いたことがある」というのもよく耳にします。例会報告者の内容を冷静に分析されてはいかがでしょうか。何度も報告されている経営者ほど前回にはなかった新しい発見があります。たえず自己変革されているからこそ報告者として受けていただけるのだと思います。その違いをつかみ取ってやろうという意気込みで例会に臨んでください。有益な情報は自社に持ち帰り、自社で活用できるように社内で検討してください。そのための組織と仕組みをステップ2を活用して構築してください。

(株)エニー 代表取締役 佐々木雅一(神奈川)
 中同協企業変革支援プログラム検討プロジェクト委員

「中小企業家しんぶん」 2012年 9月 15日号より