若者は何割就職できているのか

 2012年春の大学卒業者の就職率が96.3%と文部科学省・厚生労働省が発表しました。近年の就職率の増加は中小企業を選択する学生が増えたためとも説明されています。「就職率」は就職希望者のうちの就職者の割合です。本当は何割の若者が就職できているのでしょうか。

 2012年度の学校基本調査では「2012年卒業大卒1.2%増の55万9000人で、うち35万7000人が就職63.9%と2.3%増加、2年連続改善。就職も進学もしなかった8万6000人のうち3万3000人がニートに。さらに就職のうち非正規が4万2000人」と発表しています。

 高校卒業者の数字を基本に、同じ学年の生徒が最終的に何割就職するかを出したいと思います。高校卒業者数98万6295人のうち大学進学56万5859人(53.6%)、専門学校進学17万7340人(16.8%)、就職者17万7001人(16.8%)となっています。専門学校と大学への進学率の合計は70.4%なので、大学の就職者割合65.5%に進学率70.4%をかけて46.1%。高校卒業者数を100%とした時、大学を経由して46.1%が正規に就職していると見ることができます。同様に、修士課程では7.1%、博士課程では0.7%が就職し、正規に就職した割合は高校での就職者16.8%をあわせて70%になります(表)。

 比率の合計から新卒者の7割が正規に就職できると考えられます。表による就職者の合計60万人と言う数字は、高校卒業者数98万人に対しては61.2%になりますが、年度が異なるので割合の高い方で考えます。70%という数字は多くみえますが、18歳から27歳の日本の若者30%が失業と同じということであり、欧州危機によって最悪の失業率であるギリシャ24.4%やスペイン24.63%より深刻であると言えます。

表 各学校段階ごとの進学者・就職者などの割合

「中小企業家しんぶん」 2012年 9月 25日号より