Ⅲ 人を生かす経営の実践 (2)共に学び共に育ち合う社風づくり

【社員とともにめざす企業像へ変革を~企業変革支援プログラム ステップ2】13

 共育の目的は会社に関わる多くの人が自立した人間になること、それが共育のねらいです。

 自律的に自発的に改善に取り組む社員あふれる会社になるためには、まずその必要性が全社で共有されていることが大事です。みんながその気になっているかです。そのためには人を育てる仕組みが社内にありますか?そして能力を高める社内制度はありますか?と具体的な実践状況を企業変革支援プログラムステップ2「Ⅲ―(2)」では問うてきます。

 理屈はわかりますが、その実践となりますと正直後回しにしたくなる部分が、この社風づくりの箇所でないでしょうか。

 できそうでできないのが社風づくり、勇気を出して実践だと登り始めたらあまりのその頂きの高さに尻込みしてしまうのが社風づくり、ちょっとしたことであっという間にスタートラインに戻ってしまう、社風づくりとはそんな繰り返し作業の連続ではないでしょうか。だから後回しにしたくなったり、なかなか手つかずの部分であったりします。

 理屈は分かっています。会社の目的を実現するためには、自律した社員・自発的に行動する社員なしにはその目的達成はあり得ないことはわかっています。共に学び共に育ちあう社風づくりのためには社員の意識調査も必要ですし、権限委譲を全社的に進めていかなくてはいけないことも十分承知しています。でもなかなかできないのです。理屈はわかっているのにです。

 どうも社風づくりの前に経営者の覚悟づくりの方が先のような感じもしてきました。

 そんな簡単には成果がでないこと、成果どころか落胆することが多いことを恐れるのではなく、むしろ楽しむくらいの覚悟を決めることが必要なのかもしれません。成熟度レベルが実感できなくとも、社員から実践事項への疑問の声が多く出始めてもぶれることなく前を向いた姿勢を崩さない、失敗を楽しむ覚悟を決めてしまうことがまず最初に必要なことかもしれません。

 人が育つ会社にしたいと思うならまず最初に自分が一番成長したいと願うこと。そんな強い意志を持った人からの呼びかけしか他人はその気にならないみたいです。共育は他人を巻き込むから難しいものと思われますが、他人を巻き込むものだからこそ、自分の信念が一番重要なことと思われます。

 再度自らに問いかけてみませんか、あなたは本気で成長したいと願っていますか?社員も、自分も。

八嶋合名会社 代表社員社長 八嶋祐太郎(富山)
中同協企業変革支援プログラム検討プロジェクト委員

「中小企業家しんぶん」 2012年 12月 5日号より