【第3回人を生かす経営全国交流会IN愛知】「希望創造」の時代、人が輝く企業づくりを~経営者の覚悟と実践

 11月15~16日、「『希望創造』の時代、人が輝く企業づくりを~経営者の覚悟と実践~」をテーマに、第3回人を生かす経営全国交流会が愛知で開催されました。

【問題提起】同友会がめざす企業像と企業づくりの運動の変革へ

~「時代認識」を明確にし「強み」で連携~

中同協人を生かす経営推進協議会代表 宮崎 由至氏

 今、一番大事なのは時代認識です。10年前、これから残るのは大企業とデジタルだと言われました。デジタルは、システムができれば同じものがつくれるので、付加価値はつきません。

 酒づくりは、米も水も気候も毎年違い再現性がないアナログです。中小企業はずっとアナログでやってきました。ソーシャルメディアも追い風で、Facebookの「いいね!」という共感の小さな囲い込みは、大企業が最も不得意とするところです。中小企業のアナログが付加価値を生む時代となりました。

 三重県の経営戦略会議で企業誘致の話が出ました。私は、1社で売上1000億円の企業誘致ではなく、中小企業1000社が1億円ずつ売上をあげるよう提案しました。1000社が生み出す雇用の数は格段に違います。その後、県職員が中小企業1050社を訪問しました。

 訪問でわかった問題点は、(1)対売上付加価値率が極めて低い、(2)その理由は「連携がない」、(3)海外戦略がない、の3点でした。こうして、浮き彫りになった問題をどう解決するかです。

 まず、戦略と戦術の違いを理解しなければマネージメントはできません。戦略はトップが描く、戦術はフィールドマンが考え実践します。

 自社の強みをつかむことも重要です。宮崎本店の強みは10年程前に教わりました。バイヤーからわが社の強みを聞かれ、「三重県の米を使い鈴鹿川の伏流水で仕込み、自社開発の酵母を使い、杜氏が精魂込めてつくる」と答えると、「他社の説明と県名、川の名前が違うだけですね」と返され絶句しました。そのバイヤーが考える宮崎本店の強みは「安心、安全、安定供給」でした。強みがわかると、マーケットが定まります。以前は「20歳以上のお酒を飲む全国民」が顧客の定義でしたが、全国民が買えば安定供給はできません。わが社のマーケットはニッチではなく「いいね!」と言ってくれる共感のカルトです。顧客を絞れば顧客満足度も上がります。

 異業種連携は強みのあるもの同士から生まれますが、新しい技術の組み合わせによる入口連携ではなく、できたサービスや商品で新しいものをつくる出口連携が必要です。

 今後は、行政が産業政策を決定するプロセスに中小企業がどうコミットできるかが、憲章制定後のわれわれの大きな課題となります。

「中小企業家しんぶん」 2012年 12月 15日号より