社員と企業変革支援プログラムの活用 (株)AZUMA 代表取締役 上田裕子氏 (熊本)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】

 昨年11月15~16日に行われた第3回人を生かす経営全国交流会第4分科会での上田裕子氏((株)AZUMA代表取締役、熊本同友会経営労働委員長)の報告から企業変革支援プログラム活用の取り組みを紹介します。

理念が浸透していないことを痛感

 顧客の入金が滞っていたり、信頼していた社員が退職願を出すなど思うようにいかないことが起こるたびに私の管理体制の甘さ、経営指針書を創ってきたけれど社員がちゃんと指示通りに動かなかった、会社の理念や方針が会社に浸透していなかったと考えていました。

 労働環境の整備のために原点に返らないとどうしようもないという想(おも)いがありました。その原点に帰るとはやはり幹部社員に私がしっかりビジョンと戦略を考えながら訴え、実現するための戦術はどうしたらいいのかと毎回毎回社員に問いかけること。どうしたら目標を達成できるのかを社員と共に改良していきました。

幹部社員との評価の差

 その中で私は企業変革支援プログラムを幹部社員と取り組みました。1―(1)、1―(2)、1―(3)というのは「経営者の責任」です。私は一生懸命やっているという想いはありました。 しかし、社員の評価は正直です。1―(1)「経営理念の成文化と社員の共有」で私は3と評価しているのに社員は2・1くらいです。それと1―(4)「自社の経営の主要数値の正確な把握」。私の会社では試算表が出ると、全体までは分からなくても各部署の業務1課、業務2課などの試算表を提示し、税理士を交えながらこの数字のプラスの面とマイナスの面について勉強会をしていました。ですが、そこまでしているのに評価は2なのです。私は3よりもちょっと上くらいの気持ちでいました。

 2―(2)「経営理念を実践する過程」3―(1)「社員の自主性の発揮」もちゃんとやってくれているという思い上がり。社員の評価はまた2でした。そこまで乖離しているのです。私はすごく悔しかったです。しかし、これほどの差が私と社員との間で開いている差なのかなと思いました。この差を埋めるのにどうすればいいのかなと考えたときに、やはりPDCAの基本を徹底的に回そうと社員に提案しました。

 週次と月次から進捗管理報告のミーティングを毎週火曜日に必ず行うように仕組みを創りました。その時に必ず「いい会社を創るためにどうしたらいいと思う」と問いかけます。社員に意見を言わせる、社員の気づきを大切にします。こういうところでこうしたらいいのではないですか、と皆に言わせることです。

 企業変革支援プログラムの2回目の活用をしています。2回目になると、1―(1)「経営者の責任」の項目がやっと評価3に近づいてきました。1―(2)「信頼関係の構築」、3―(2)「共に学び共に育ち合う社風づくり」、3―(3)「労働環境の整備」も3―(4)「対等な労使関係」も社員の方が私よりも高く評価し、考えるようになりました。

 皆さんも原点にかえり、企業変革支援プログラムを自社で活用してほしいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2013年 1月 5日号より