静岡同友会富士支部では12月14日に富士市長と懇談し、「都市活力再生ビジョン策定にあたっての同友会富士支部の要望」を提出しました。
富士市では、大手製紙会社がこの秋には工場を閉鎖するなど地域産業の将来に不安が広がっています。企業家のなかでは「富士市はこれからどんどん悪くなっていくね」という傍観者的な話も聞かれます。富士支部の要望はこうした空気を打ち破る契機になればと期待されます。
富士市では2007年に「中小企業振興基本条例」が同友会などの要望により制定されましたが有効に活用されていません。支部では本年度、条例を活用しようと政策委員会活動を再開しました。そんな折、若手会員から市内工業団地進出企業と取引したいという働きかけが市役所担当課に出され、市行政と懇談を行うなか、市が「都市活力再生ビジョン(再生ビジョン)」の策定を進めていることを知りました。
その後、政策委員会では「再生ビジョン」について毎月議論が行われ、支部会員全員に政策アンケートも実施し、再生ビジョンを「絵に描いた餅にすることなく」実現するための提言として要望事項を11項目にまとめあげました。
要望は、企業誘致に偏重することなく地場中小企業の活力を引き出す「地域内発型の産業活性化」への市の姿勢の明確化、地場中小企業の成長・企業変革を引き出すための施策・市役所体制の充実、「中小企業振興基本条例」の市民への普及と時代にそった改定、をもとめる内容となっています。
懇談のなかで市長は、地域再生のためには「スピード感をもった行政対応」が必要であり、同友会の要望を「再生ビジョン」のなかに生かしていきたいと語りました。
政策委員会では市への要望提出をひとつのステップとして「中小企業振興基本条例」を実効ある条例にするためにも、「要望」の内容を関係諸団体や企業家の間にひろめる活動を今後行っていこうとしています。
静岡同友会副代表理事・富士支部会員 佐野 譲二
「中小企業家しんぶん」 2013年 1月 15日号より