中小企業と地域社会重視の判断を~TPP交渉参加で代表理事談話【東京・京都・中同協】

 安倍首相が環太平洋経済連携協定(TPP)について交渉参加を表明したことを受けて、東京同友会と京都同友会はそれぞれ代表理事名で談話を発表しました。3月26日に行われた中同協政策委員会でもTPPに関して活発な論議が交わされました。

東京同友会

 東京同友会は3月15日に藤田明男代表理事の「TPPに関する要望」と題した談話を発表しました。

 談話ではTPPへの交渉参加について「私たち中小企業家も賛否両論を含め大きな関心を持っています」とした上で、次の5点を要望しています。

1、交渉に関わる情報が隠ぺいまたは操作されることなく、全て公開されること。
2、全ての参加国にとって相互の繁栄と利益に資する対等な協定であること。
3、企業数で99%、雇用人口の70%と国の根幹をなす日本の中小企業の利益が守られるようにその方策を明確にすること。
4、当会を含む中小企業団体が参加する審議機関を設け、ISDS条項を含め広域連携の戦略を練り主要な条件を整備すること。
5、今後のアジアの地域統合や広域経済連携を見据え、参加する目的や戦略、ビジョンを明確にして臨むこと。

京都同友会

 京都同友会は3月15日、京都新聞社からの依頼を受けて岩島伸二代表理事の「TPP交渉参加の正式表明に際して」と題した談話を発表しました。

 談話では「このたびの、安倍首相による環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加表明については、未だ国民の意見が二分されている中でおこなわれました」と述べた上で、会員に対して実施しているアンケート調査の中間集計結果なども紹介しながら「TPPに関心はあるものの、その内容については必ずしも十分な認識と理解を得ているとは言い難い状況」と指摘。

その上で、中小企業への影響を考え「正確な情報を国民に示し説明して納得を得る手続きが必要であり、国会をはじめとして丁寧な対応をただちにすすめていただきたい」と提言しました。

中同協

 3月26日、東京で中同協政策委員会が開かれ、東京と京都の同友会の代表理事談話を説明した後、TPPに関して活発な議論が交わされました。

 顧問の大林弘道神奈川大学教授は、同友会の歴史を見れば、国論を二分する問題を論議する場合、すぐに結論を「決めない」ことが大切。ただし、徹底して論議して正しい認識に近づくことが歴史の教訓であると述べ、各同友会での学習と議論を呼びかけ、参加者から共感が寄せられました。

「中小企業家しんぶん」 2013年 4月 5日号より