小規模企業活性化法案が成立か

中小企業憲章と中小企業基本法との関係

 小規模企業活性化法案が衆議院を通り、現在参議院で審議されています。これは、中小企業基本法改正ほか6本の法案の改正・廃止を予定しています。

 中小企業基本法は、1999年以来、14年ぶりの改正。小規模企業が活力を最大限に発揮されなければならないものであることを、第三条の「基本理念」で明確化しました。

 また、小規模企業への配慮規定であった第8条を「小規模企業に対する中小企業施策の方針」に改め、(1)地域の雇用や経済循環を担う小規模企業が、地域において持続的な事業活動を可能とすること、(2)将来的に我が国を代表する大企業になり得る成長志向を持った小規模企業が、事業規模の拡大に伴い適切な支援を受けられるようにすること、(3)金融、税制、情報の提供等について、小規模企業の経営の状況に応じ、必要な考慮を払うこと、という3つの方針に従い、小規模企業者に対して中小企業に関する施策を講ずる旨を規定しています。

 さらに、中小企業の成長を後押しする施策として今日的に重要な以下の施策を、新たに第2章の「基本的施策」に規定を追加しています。

 (1)女性や青年による創業の促進(第13条)、(2)海外における事業展開の促進(第16条)、(3)情報通信技術の活用の推進(第17条)、(4)事業の承継のための制度等の整備(第24条)。

 中小企業庁は、(2)などを中小企業憲章から引いてきたとしています。

 中小企業憲章の「基本理念」では、「創意工夫を凝らし、技術を磨き」「個性豊かな得意分野や多種多様な可能性を持つ」「企業家精神に溢れ」といった全面改正後の中小企業基本法の基本理念に沿った表現も見られますが、むしろ、「経済やくらしを支え」「家族のみならず従業員を守る責任を果たす」「地域社会と住民生活に貢献し」「地域社会の安定をもたらす」といった中小企業の地域や生活における役割が強調されています。

 これは、「地域や生活を支える中小企業」というこれまでとは異なる中小企業像の提示とみることもできます(「中小企業政策は何を目的とするのか」山田宏・前経済産業委員会調査室、『経済のプリズム』109号、参議院調査室)。

 今回の中小企業基本法改正では、この「地域や生活を支える中小企業」の理念が反映されています。第三条の「基本理念」に小規模企業の重要な意義が、「地域における経済の安定並びに地域住民の生活の向上及び交流の促進」および「将来における我が国の経済及び社会の発展」に寄与すると規定されています。

 中小企業庁のホームページの「中小企業憲章・法令」にあるように「中小企業政策の基本的考え方と方針」である憲章が「法令」を導く形で載っています。中小企業憲章と中小企業基本法の関係も本来こうあるべきですし、徐々にそうなりつつあります。

 6月3日の中小企業憲章推進月間のキックオフ集会(中同協)。去年に比べ格段に前進しました。中小企業憲章と中小企業基本法は、課題は多々ありますが、確かな歩みを実感させられます。

(U)

「中小企業家しんぶん」 2013年 6月 15日号より