1名がベルギーのEU本部を訪問~最新の中小企業政策を学ぶ【広島同友会】

条例制定へ弾みをつけよう

 広島同友会は本年設立40周年を迎えました。この節目の年に、国では中小企業憲章の国会決議、各地では中小企業振興基本条例制定の取り組みが進められています。

 この憲章・条例の取り組みは、そもそもEUの小企業憲章「THINK SMALL FIRST」の理念に共鳴したことに、始まりの一端があります。

 そこで、広島同友会の節目の年に、憲章・条例の原点である「THINK SMALL FIRST」の理念に直接触れ、その実態を視察することで、今後の運動に弾みをつけたいと、有志により「EU本部視察研修」を実施しました。

熱の入った報告と意見交換

 7月3日、川口代表理事を団長に11名で、ベルギーのブリュッセルにあるEU本部企業産業局を訪問し、中小企業政策の担当者から、EU小企業憲章について学びました。

 担当していただいたマリア・コロンボ氏からの報告と、ディスカッションで3時間を予定していましたが、丁寧で興味深い報告が、その後の熱の入ったディスカッションにつながり、予定時間はあっというまに過ぎてしまいました。

小企業憲章からSBAへ

 2000年に採択されたEuropean Charter for Small Enterprises(欧州小企業憲章)はより具体的で実行力のあるものへと、2008年にはSmall Business Act(SBA:小企業法)を制定。さらにヨーロッパ経済危機への対応として2011年にも見直しが行われています。

 SBAには10の原則があり、その原則のもとに、具体的な政策が立てられ、加盟各国で実施されています。

SBA「10の原則」

1.企業家精神のサポート
2.2度目のチャンスを与える
3.小さいところから考える(小企業への負担を減らす)
4.中小企業のニーズに機敏対応する
5.国庫補助の公共調達とその使用へのアクセスを改善
6.資金へのアクセスを容易にする
7.ひとつの市場(垣根のないEU加盟国)の特徴を生かし、それを享受する
8.スキルや技術革新へのアクセス
9.環境対応への支援
10.EU以外への展開を支援

着実なPDCAサイクル

 ヨーロッパ経済危機への対応のために、中小企業政策をその中心に据えていること。政策が本当に現実に即したものかどうか、毎年、政策の進捗状況を数値化して把握、そして見直し、改善するというPDCAサイクルが迅速にかつ、適切に行われており、しかもその判断を3人の経済学者で行っているということに驚くと共に、日本でもやるべきことが見えてきた気がしました。

同友会運動へ自信と誇り

 最後にマリア氏から、「あなた方のように、企業家自身が自主的にさまざまな課題に取り組んでおられることに敬意を表します」という言葉を頂き、参加者は同友会運動へ大きな自信と誇りを感じた視察研修となりました。

(広島同友会事務局次長 源田敏彦)

「中小企業家しんぶん」 2013年 9月 15日号より