ドイツ・チェコ視察に27名が参加【北海道同友会道北あさひかわ支部】

 4月28日から5月5日にかけて、北海道同友会道北あさひかわ支部は支部会員を中心に27名で「欧州中小企業家同友会等視察旅行」を実施しました。今回の視察は環境先進国ドイツのエネルギー政策と技術立国としてしての1面を体験すること、また自由主義経済の中で経済成長を続けるチェコに学ぶ目的で行われました。

ボッハパルト市訪問

 2日目には道路用機械点圧振動ローラー機の世界シェア40%を誇るBOMAG(ボーマク)社(ドイツ)を視察。カール・ハインツ・メーリッヒ副社長に迎えられ、終始和やかな訪問となりました。30万平方メートルに及ぶ敷地の工場内では3000種の部品が用意されており、トヨタのカンバン方式を採用し運搬の時期・量・方法・順序などが伝票で指示されています。

 視察団はその後、ボッハパルト市役所(ドイツ)を訪問。ワルター・ベアシュ市長と会談しました。一同がまず驚いたのはテーブル上のグラスに注がれた白ワイン。市長は「この地域の特産は白ワインなので、ぜひ味わいながら懇談したい」。ボッハパルト市は観光収入60億円という観光都市です。大手流通には乗らない小規模ワイナリーが点在し、白ワインを目当てに訪れる方が多いそうです。

 企業誘致の話に移りベアシュ市長からは「ぜひ、皆さんの企業の進出のサポートをさせていただきたい」という力強い言葉がありました。この懇談の様子は後日ボッハパルトの地元新聞にも掲載されました。

ドイツ中小企業組合との懇談

 4日目にはコブレンツ(ドイツ)を訪問、「コブレンツ中小企業組合」とその会員企業を訪問しました。

 木質バイオ発電と蒸気動力を販売しているBHKW FLOHR社を見学。本来なら料金を支払う産業廃棄物を無料で引き取り燃料とすることで、供給会社にもメリットがあり、ごみの減量にもつながります。見学では職員の方が企業秘密の情報も包み隠さず丁寧に説明され、やはり国は違えど同じ中小企業としての信頼を感じました。

 ドイツでは2000年から再生エネルギーの固定買い取り制度を強化し、2002年に原子力発電からの撤退に向けて動きだしました。その法整備や政策により大小さまざまな発電施設が建設されます。今では燃料となる廃材の不足により木質バイオ発電の建設は認められていないとのこと。再生エネルギーについてはやはりお手本はドイツにありと感じさせました。

 会社を見学後、ドイツ中小企業経営者組合のウーズラ・フレリッヒ会長、同組合のマンフレッド・ウォスニク事務局長と懇談。同組合には中小企業470社が加盟しています。ドイツでのマイスター制度に触れ、ウーズラ氏は「職人の技術を若者に受け継げるようサポートしたい」と話しました。この会食でも飲み物はビール。一同驚きながらも喜び率直に意見を出し合いました。

 5日目にはメルセデスベンツミュージアムを見学し、シュトゥットガルトの「春祭り」に参加しました。

 6日目にはチェコに向けて出発し、プラハ市内を視察しました。

郷土の強みを引き出す戦略とリーダーシップ

 7日目にはオフィス向けの文房具などの通信販売をしているACTIVA社を視察しました。従業員は510名と大きく、チェコで国内シェア65%を占めています。

 今回の視察ではワイナリーへの訪問やオペラ「椿姫」の鑑賞、共産主義時代を生き残り歴史的建築様式を守るアメリカンバーなど、企業活動のみでなく異国の文化にも触れた視察旅行となりました。今回の団長である渡辺直行・道北あさひかわ支部長は「短い滞在期間の中でさまざまな人々との交流を通じて、われわれが学んだことは、郷土に対する誇りであり、その強みを引き出す戦略やリーダーシップでした。そして、この1週間を通じてもっとも感じたことは心のこもった思いがけないホスピタリティーです」とこの視察を締めくくりました。

「中小企業家しんぶん」 2013年 9月 15日号より