【第26回社員教育活動全国研修・交流会in秋田】 「自分の頭で考える」企業と社会をめざして

 第26回社員教育活動全国研修・交流会が11月20~21日、秋田同友会の設営で開かれ、32同友会・中同協と来賓を含めて254名が参加しました。2005年に設立された秋田同友会は、今回初めての全国行事を成功させようと40名を超える実行委員が力をこめて準備してきました。

 1日目は、本郷利武・中同協社員教育委員長が「時代と地域から高まる“共育”への期待」と題して問題提起。「地域間格差や学習機会格差が広がるなか、地域経済・社会を担う中小企業の役割がますます大きくなっています。地域がよくならなければ自社がよくならないし、自社がよくならなければ地域もよくなりません」と述べて、地域全体を良くする視点で社員教育に取り組むことを提起しました。その後、3つの分科会に分かれて学びを深めました(2014年1月5日号に詳報予定)。

 2日目は、農業問題評論家・著作家の佐藤藤三郎氏が「ずぶん(自分)のあだま(頭)で考えろ~現代に生きる『山びこ学校』で培われた『共に育つ』教育」と題して記念講演。佐藤氏は1940年代後半の山形県山元村(現上山市)の中学校教師・無着成恭氏と過ごした日々について、「無着先生は、貧しい農村の勉強ができない子どもたちを責めず、どうしたら勉強する気になるか、できるようになるか、子どもの立場にたって実践していました。それで子どもたちから信頼されたのです」と回想し、「経営者も社員の立場に立って考えることが大事ではないでしょうか」と提起しましました。グループ討論と発表では「自分の頭で考えることのできる社員を育てるには、経営者と社員の信頼関係が重要だと認識した」と感想が語られました。

 最後に、梶谷俊介・中同協社員教育副委員長が「自分の頭で考えない社会・国は危うくなります。私たち中小企業の社員教育は、各企業の業績を良くすることと同時に、一人ひとりが自分の頭で考える主権者を育てる役割を担っていることを学んだ交流会でした」と、まとめの発言をして閉会しました。

 なお1日目には秋田県副知事の橋口昌道氏、2日目には秋田市長の穂積志氏がそれぞれ来賓としてあいさつし、行政と秋田同友会との関係の深まりを示すものとなりました。また懇親会では「フィリピン台風被害救援募金」が呼びかけられ23万23円が集まりました。中同協ではフィリピン国大使館に届ける予定。秋田同友会は今回の交流会の成功を力に12月末までに350名の会勢を達成しようと意気込んでいます。

「中小企業家しんぶん」 2013年 12月 5日号より