中小企業振興基本条例をすべての都道府県へ

小規模企業振興基本法でますます輝きを増す振興条例

小規模企業振興基本法案が通常国会へ提出予定です。

 法律の概要は、小企業者(概ね従業員5人以下)を含む小規模企業について、中小企業基本法の基本理念である「成長発展」のみならず、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持等を含む「事業の持続的発展」を位置づけるとしています。

 小規模企業施策について5年間の基本計画を定め、政策の継続性・一貫性を担保する仕組みをつくるとしています。

 中小企業憲章の理念である「地域とくらしを支える中小企業」が、小規模企業者の意義として昨年6月の中小企業基本法の改正に反映しました。基本理念では、「地域における経済的安定並びに地域住民の生活の向上及び交流の促進に寄与する」などが付け加えられました。これが、第一弾であり、今回の小規模企業振興基本法の制定が第二弾です。

 しかし、書いてあるだけでは、絵に描いた餅です。実際には、地域の小規模企業者が「その気」にならなければどうにもなりません。

 そのへんの事情をある委員が述べています。「長期で考えると、人口の減少、グローバル化が進むことにより、地域によっては人口が減り、仕事が減り、雇用が減る。小規模企業問題は地域の問題を絡めて議論をしなければならない」(小規模企業基本政策小委員会報告書、以下「報告書」)。

 そして、地域を政策的に支えるのが都道府県であり、より直接的には市区町村です。つまり、国と地方自治体との政策連携が決定的に重要になっています。

 ただ、従来通りの国と地方自治体の関係では中小企業の期待に応えられません。そこに、中小企業振興基本条例が重要な役割を果たします。さらに言えば、中小企業の実態調査と産業振興会議を付け加えた3点セットで中小企業振興のモデルをつくることです。

 条例と条例制定後の取り組みを通じて、地方自治体と中小企業に新たな結びつきと協働関係を生み出すことが大切です。

 また、行政側としても政策のPDCAを回す仕組み、政策の体系化を確立するうえで条例制定が画期となるでしょう。「お飾り条例」なら、生きた条例にするように努力しましょう。

 「報告書」では、「小規模事業者の活力を最大限発揮させ、またその持続的な発展を実現させるためには、国のみならず、地方公共団体、支援機関、地域住民等様々な主体が、我が国の将来における小規模事業者のあり方を共有し、それぞれの立場で小規模事業者の振興に寄与すること」が大事と言っています。これだけの一体感をつくれるのは振興条例しかありません。

 現在、29道府県、115市区町で制定されています。私たちは振興条例へ確信を持ち、制定・活用・見直し運動を一層推進しましょう。国が振興条例の有効性を確認し、推奨することを求めます。

(U)

「中小企業家しんぶん」 2014年 3月 15日号より