【新・わかりやすい中小企業憲章Q&A】 第1回

 2003年の中同協総会で中小企業憲章の制定運動が提起されて11年。この間、各同友会では多くの新役員・新会員を迎えています。今回から連載で中小企業憲章について改めて学ぶQ&Aを掲載します。

Q: 中小企業憲章はどのように中小企業を位置づけているか。

A: 2010年6月に閣議決定した中小企業憲章は、中小企業の意義を「経済を牽引する力であり、社会の主役である」と位置づけ、基本理念などで中小企業の果たす役割の重要性を述べています。特に、「経済やくらしを支え」「家族のみならず従業員を守る責任を果たす」「地域社会と住民生活に貢献し」「地域社会の安定をもたらす」といった中小企業の地域や生活における役割が強調されています。

 これを受けて、基本原則には「セーフティネットを整備し、中小企業の安心を確保する」が、行動指針には「地域及び社会に貢献できるよう体制を整備する」が挙げられています。これは、「地域や生活を支える中小企業」というこれまでとは異なる中小企業像の提示とみることもできます。

Q: 中小企業憲章の閣議決定の意義は何か。

A: 中小企業憲章は、政府として初めて中小企業の経済的・社会的役割などについての考え方を示し、政策の理念・考え方を初めて整理した画期的な文書です。日本には「憲章」と名のつくものは、「児童憲章」(1951年)や「自然保護憲章」(1974年)、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(2007年)があります。これらは国民会議など会議体をつくり制定したものですが、「中小企業憲章」は初めて閣議決定された憲章です。

 閣議決定は、政府の決定では一番レベルの高く、全閣僚が決定に責任をもつという性格のものであり、これに従う義務があるという位置づけになります。中小企業憲章は今後、中小企業に関わるすべての政策の立案や制度設計の拠り所、根拠になります。

「中小企業家しんぶん」 2014年 4月 15日号より