企業間連携で「挑戦」広がる~藤枝発「同友会型エコノミックガーデニング」~【静岡】

企業育成と起業創業を促進させるエコノミックガーデニング*(以下EG)に着手する静岡県藤枝市。同市を含む3市にまたがる静岡同友会志太支部は2012年度のEG研究会発足から3年目を迎え、企業間連携に挑戦しています。

今年度、支部スローガンを「繋(つな)げよう小さなチャレンジ、繋(つな)がろうそれぞれの未来に向けて」と掲げる松葉秀介支部長(松葉倉庫(株)代表取締役社長)。会員間の繋(つな)がりを強め、多くのチャレンジを創り出し、地域・行政との繋(つな)がりを強めていこうと、実績の積み重ねを目指しています。

同市でスポーツショップを営む(株)清水屋スポーツ(山本剛ゼネラルマネージャー、静岡同友会会員)では、60~70代の地元住民300人を集めるグランドゴルフ大会を定期的に開催しています。心身ともに健康・元気でいたいとスポーツに打ち込む参加者の多くは、「上達したい、常に上位に名を連ねたい!」という願望が潜在的にあることを感じていました。

すぐ近くにある訪問・店舗マッサージ業の(株)ニューウェーブ(寺田卓正代表取締役、静岡同友会会員)が提唱する予防医学の理念にたどり着きました。要介護の高齢者を主に訪問事業を行う寺田氏は、同友会で経営指針を策定。その後、予防医学に関するセミナー事業の経営革新を取得。白衣をまといグランドゴルフ大会に行き、参加者から筋肉のケアや鍛え方などアドバイスを多く求められ、両社への期待と満足度が高まりました。

同じく(株)ニューウェーブは、総合物流業の松葉倉庫(株)(同支部長)と連携し、ドライバーやリフト作業者の腰痛防止対策の一環として、全従業員を対象にした腰痛防止セミナーとストレッチ、日常のケアのアドバイスを行う腰痛防止アドバイザー契約を5月中旬に締結します。運送・倉庫業で働く人の多くは、腰痛は一種の職業病で、業界の課題にもなっていました。「なってから苦労するのではなく、ならないための予防」を考える寺田氏の考えと一致して実現に至りました。

市EG協議会に会員が参画するなど行政からの期待も高まっています。企業家として常に挑戦する経営姿勢を持つことが重要です。各社の経営資源を掘り起こし、見つめ直すことで、新たな企業間連携が生まれます。それはBtoC取引だけでなく、BtoBによる新分野・新サービス開拓にも広がりを見せ、その挑戦と実績に会内外から注目と期待が寄せられています。

*エコノミックガーデニングとは

地域経済を「庭」、地元の中小企業を「植 物」に見立て、地域という土壌を生かし中小企業を育て、地域経済を活性化させる政策。具体的には(1)企業の情報力強化(2)インフラ整備(3)顔の見える地域内連携を産学公民金で連携し行うことです。

「中小企業家しんぶん」 2014年 5月 15日号より