【同友会景況調査(DOR)108号速報(2014年4~6月期)】消費増税反動減、中小企業の回復は緩慢

 同友会景況調査(DOR)108号(2014年4~6月期)の速報が発表されました。

 消費増税の駆け込み後の反動で、ほとんど全ての指標は急落しました(図)。大手企業が新製品の発売や特売セールなどで持ち直す兆しを見せるなか、中小企業は回復に時間がかかりそうです。

図 2011年からの業況判断DI、売上高DI、経常利益DIの推移

業種・地域・規模別それぞれ悪化

 前年同期比の業況判断DI(「好転」―「悪化」割合)は20→△1、売上高DI(「増加」―「減少」割合)は24→3、経常利益DI(「増加」―「減少」割合)は12→△4といずれも急落しました。足元の景況を示す業況水準DI(「良い」―「悪い」割合)も10→△8と18ポイント悪化で、消費増税の駆け込み反動が強く現れています。

 1997年の増税直後(1997年4~6月期)はそれぞれ10ポイント以内の悪化でしたが、今回は10ポイント後半から20ポイントを超える悪化で、増税の影響は決して軽微とはいえません。

 業況判断DIは業種別、地域別、規模別それぞれで全面的に悪化しています。

 次期以降は、業況判断DI、売上高DI、経常利益DI、業況水準DIとも持ち直す予想です。しかし従業員5人未満企業は回復しないと見込むなどバラつきがあります。また全国の同友会が5月に行った「消費増税影響調査」では半年後(11月)に売上が持ち直す見込みは32%にとどまりました。先行きはかなり慎重に見なければなりません。

中小企業と地域経済を尊重した税制を

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」―「下降」割合)の上昇は継続しており、消費増税と仕入高のダブルパンチとなっています。

 雇用面では、人手の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)はやや減少したもののなお不足感が鮮明です。

 「経営上の問題点」では「価格競争の激化」、「仕入れ単価上昇」、「従業員不足」が依然と高く、また、「民需停滞」「税負担の増加」が急上昇しています。税制対応の影響が出ています。

 経営上の力点では「新規受注の確保」がトップで、「付加価値の増大」の数値が増加しています。「社員教育」についても高く、各企業で社員教育を重視した付加価値増大の努力が続いています。

 増税など経営環境の変化につぶされない強じんな企業づくりと共に、中小企業と地域経済の声を尊重した経営環境・税制が求められています。

 速報の詳細は中同協ホームページに掲載されています。

https://www.doyu.jp/research/dor/

「中小企業家しんぶん」 2014年 7月 15日号より