【新・わかりやすい中小企業振興基本条例Q&A】 第2回

Q 中小企業振興基本条例の目的は何ですか。

A この条例を制定する目的は、2つあります。 (1)地域の産業の活性化を図ることです。産業が活性化することで、物やサービスが循環し、賑わいがもたらされ、それにより、さらに産業が活性化し、多くの人々を引きつけ、人々の交流の中から、地域の文化や歴史が形づくられ、まちの魅力を高めていきます。

 (2)産業に携わる者の役割を明確にすることです。産業の個々の担い手が、どのように考え、どのように活動していくかを示すことにより、中小企業振興と産業振興の重要性についての自覚を促し、一体性をもって取り組んでいくことができるようにすることです。

Q 中小企業振興基本条例の制定はなぜ必要ですか。

A その根拠は次の5点にあります。

(1)地方自治体自身が中小企業ないし、地域の産業を振興するという立場を何より自治体の内部(つまり役所や職員、議員)に対して明確にすること。条例に明記することで、政策を進めていく上での支えとなります。

 (2)基本条例に基づいて、さまざまな施策を具体化していくことが可能になること。中小企業に関係する自治体の施策は、直接的な地域産業政策だけでなく、立地、教育、住宅などさまざまに関係を持っているが、こうした関連部門の施策へも基本条例の存在は当然意味を持っています。

 (3)地域の中小企業に対して自治体のスタンスを明示することを通して自治体の考えと方向性を理解してもらえること。振興条例を地域の中小企業者に提示することで、自治体と中小企業者が協力して地域の中小企業振興、地域経済振興に取り組んでいく上で効果的になります。

 (4)行政の姿勢の連続性を担保するものとして位置づけられること。首長が替わったり、担当職員が交代しても、基本的な政策や行政の姿勢を一貫させていく、維持発展させていくために基本条例は意味があります。

 (5)地方自治体が主体的に地域産業政策を展開する役割を国が中小企業基本法等で位置づけ、振興条例を制定する意義と根拠がより明確になったこと。長い間、自治体の役割が国の施策に準じた施策を講じるように努めるものと位置づけられていました。しかし、1999年に改正された中小企業基本法では、第6条に「地方公共団体の責務」の項目を設け、「国との適切な役割分担を踏まえ、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と自治体の責務が位置づけられるようになりました。

「中小企業家しんぶん」 2014年 9月 5日号より