労働生産性低いというが雇用面では

 9月10日、厚生労働省は新成果給制度「ホワイトカラー・エグゼンプション」をはじめとする労働時間法制見直しの論点を発表しました。改革の最大の根拠は日本の労働生産性が低いことでした。「1時間でどれだけの価値を生んでいるか。日本の労働生産性は40ドルとされる。ノルウェーの87ドル、ルクセンブルクの80ドルの半分だ。米国、フランス、ドイツも60ドル前後で日本より高い」と日本経済新聞は報道しています。

 OECDの比較では「2012年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、71,619ドル〔759万円/購買力平価(PPP)換算〕」。OECD加盟34カ国中第21位です。就業1時間当たりでたしかに40.1ドル(4,250円)で 第20位。1位のルクセンブルグで128,281ドル(1359万円)、2位のノルウエーで127,147ドル、3位のアメリカで112,817ドルとなっています。ルクセンブルグやアメリカの生産性が高いのは金融業の結果だと思われます。しかし、購買力平価(PPP)換算(GDP÷就業者数)の比較は本当に労働生産性を表しているのでしょうか。日本で言えば、労働生産性=付加価値÷従業員数で計算し、756万円とほぼ同等の数字です。

 生産性が高いことは良いことですが、雇用の観点では違う面が現れます。製造業で比べて見ると、一番高い豊田市で2,973万円と平均756万円の4倍、東京23区で960万円、大阪市で1,351万円、東大阪市で894万円となっています。しかし、雇用面で見ると出荷額対比で、豊田市は9兆6,906億円の売り上げでありながら8万4,635人しか雇用していません。東京23区は3兆8,488億円で19万451人雇用していると言い換えられます。大阪市でも3兆8,678億円で13万2,111人雇用。東大阪市にいたっては1兆277億円で4万7,920人雇用しているのです。

 これは中小企業が多い都市ほど雇用に貢献していることを示しています(表参照)。

表 製造業(生産性と従業員数)

「中小企業家しんぶん」 2014年 10月 25日号より