委員会の連携で学び広がる~バリアフリー委員会と求人社員教育委員会連携【広島】

広島同友会

 広島同友会福山支部のバリアフリー委員会(障害者問題委員会)では、特別支援学校との関係づくりが進んでいます。

 委員会では「まずお互いを知ることから」をキーワードに、学校の先生をお招きする企業訪問バスツアーを開催しています。このバスツアーは、先生方に地元の中小企業を知ってもらうことを目的とする一方、企業側にもツアーの受け入れをきっかけに、その後の学校訪問や職場体験にもつながるという効果も生まれています。

 ツアーでは見学に加え、支援学校を卒業した社員の発表も実施し、先生からは「在学中とは違い、社会人として頑張っている姿が印象的だった」「将来どんな仕事をしたいかの質問に、明確なビジョンを持って答えていることに驚いた」などの感想が寄せられました。

 また2014年4月には、求人社員教育委員会との連携で、支援学校の卒業生を対象にした新入社員研修を開催し、5社5名の社員が参加しました。研修では、参加企業の経営者と一緒に給料の使い方や報連相の仕方を学びました。その半年後には、新入・若手社員フォロー研修を開催。入社1年目から3年目の社員8社8名と経営者が参加しました。

 今春、鉄工所に入社したH君は工場だけでなく、事務所でパソコン入力もしています。仕事は集中力を保つために、学校の時間割のように一時間ごとに仕事を区切るようにしました。彼の目標は、いつか自分の名刺を作って担当を持つことと、運転免許の取得。現在、自動車学校に通い、将来は社長と同じクラウンに乗ることが夢だそうです。

 この研修の参加企業の多くが、自社で雇用はできないと思っていました。特に鉄鋼関係の製造業では、危険だからとの理由で職場体験まで進まないことも事実です。しかし、学校見学などお互いを知る地道な活動を重ねることで、雇用に結びつきました。

 今回参加した複数の経営者も、雇用して会社全体が優しくなったと話しています。社員と経営者、また社員同士が笑いあい、ときに厳しく、共に成長する姿に、人を生かす経営の本質を垣間見た研修となりました。

「中小企業家しんぶん」 2015年 1月 5日号より