「京都経営研究集会」を契機に、グループ討論の実践的研修で質の高い学び合いを目指す【京都】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】47

 京都同友会は2006年以来、「学んで実践」を“合い言葉”に掲げて、同友会らしい例会の充実に取り組んできました。

 しかし、参加者の「評価」は、なかなか計ることが難しく、アンケートやグループ討論報告書、支部幹事会でのまとめなどで、報告内容と共に関心が高く評価も厳しいのがグループ討論の内容です。

 そこで近年、「京都経営研究集会」でグループ長を務める人は、支部幹事会から推薦を得た人に依頼し、事前のグループ長研修会では、固定的なマニュアル化された討論にならないよう、一工夫加えています。

 それは、グループ討論の基本的な位置づけやルールの確認と共に、「私のグループ長実践例」を報告し、問題意識を引き出し参加意識を高めるすすめ方を共有することです。

 グループ長の指名を受けた段階から、報告テーマや概要を理解すること、会場に早く入り、参加者を迎える側に着席することなどは当然のことです。そこからが工夫のしどころで、まず名刺交換で情報を得る会話が大事です。

 経営研究集会には、20の支部から600人ほどが参加しますから、初対面の人も多いのです。創業者か後継者か、場合によっては経営幹部かなどを把握し、社員数などの事業規模、会話の印象から人柄や饒舌か寡黙かなども推測し、討論の進め方を想定します。また、慣れた方がいればフォローをお願いすることもポイントです。

 討論では、最初の感想に注意を払います。学びの「深めどころ」が当日資料に記載されているので、そこに興味を持った人、助言できそうな人、関心が薄そうな人、などを聞き分けながら発言順を決めます。席順で回さず、関心をもった人の言葉を引用して質問し、話題がふくらむように進めます。

 討論のまとめは、グループ発表者ではなくグループ長の重要な役割です。できるだけ参加者の言葉を使い、関心が薄かった人の言葉を意識的に入れることで、満足度が改善される可能性があります。「得るものがなかった」という参加者を残さない工夫です。また、「何に気づき、学び、何を実践するか」を全員に発言してもらうことも大事な点です。

 充実した学びの場をつくり、新たな入会者を迎えるためにも、グループ長の役割は重要です。

「中小企業家しんぶん」 2015年 1月 15日号より