阪神・淡路大震災から20年 シンポジウムに150名が参加【兵庫】

 兵庫同友会では、1月16日に阪神・淡路大震災20年シンポジウム「中小企業経営、震災から20年の検証」を開催し、会内外から150名が参加しました。

 基調講演では、大震災直後から会員企業の実態調査などに協力した二場邦彦立命館大学名誉教授が、経営指針を成文化している企業が「復興計画書」に書き換えて、いち早く行動を起こしたことが企業の復興を早めたことから、日常の経営の質的レベルが危機の時の対応に反映するということ。また兵庫同友会が、急激な外部環境の変化に対応するため、会員企業の実態調査に基づき、会員間や産官学のネットワーク化を進めるプラットホーム(場)づくりを強力に進めたことが、会員企業が大震災と不況の克服という二重の課題に対応する上で大きな力となったことを指摘しました。

 続いて行われた、田中信吾代表理事、神田榮治元兵庫県産業労働部長、田中昌利神戸信用金庫前理事長、藤井洋一神戸新聞社経済部長によるパネルディスカッションでは、何としても会社や社員を守るという経営者の覚悟が瞬時に問われたこと、地域に中小企業を残すことが、地域の復興につながるという使命感を持って取り組んだことなどが、おのおのの立場から語られました。

 コーディネーターの佐竹隆幸兵庫県立大学大学院経営研究科教授からは、大震災は不幸なことではあったが、その被害の大きさゆえに通常の対応では間に合わないと覚悟を決めた実践が、経営革新(第二創業)につながったこと、また5年ごとに発表している兵庫同友会ビジョンで、「ネットワーク」「連携」「理念型経営」など、自立型企業づくりのキーワードを打ち出して行動提起し実践してきた実行力が、今日兵庫同友会が大震災時の1006名から1500名近い会員数に到達できた大きな要因であるとむすびました。

 またこのシンポジウムに先立ち、神戸新聞社と共同で「20年の検証アンケート」を実施し、新分野開拓などの経営革新で活路を切り開いてきた被災地企業の姿が浮かび上がったと新聞紙上で報じられると共に、連載記事「検証経済復興、中小企業の底力」で会員企業6社の不屈の取り組みが大きく紹介されました。

「中小企業家しんぶん」 2015年 2月 5日号より