世界の子どもたちに平和と命の尊さを伝えたい「折り鶴ノートプロジェクト」【広島】

 平和公園に集まる折り鶴を再生し、学習ノートを作成して、世界の子どもに無料で届ける「折り鶴ノートプロジェクト」。今夏、ドイツ国際平和村から「広島の原爆記念日(8月6日)に、研修生により折り鶴ノートを活用した、平和について考える時間を持ちました」との便りが届きました。昨年度は、11カ国27地域に2083冊の折り鶴ノートを届けました。

 始まりは、広島同友会 広島中支部地域内連携推進委員会の「地域の困りごとを考えよう」という取り組みでした。それが発展し、有志により「ピース・マインズ・ヒロシマ」(以下、PMH)が発足、「折り鶴ノートプロジェクト」がスタートしました。そして、3年目を迎える今年、NPO法人となり活動はますます発展しています。

 PMHの理事長・川野登美子さんは、広島同友会の元代表理事。そして、世界の子どもたちから折り鶴が捧げられる「原爆の子の像」、そのモデルとなった佐々木禎子さんの大親友です。川野さんは中学生時代、「原爆の子の像」の建立に尽力、自らも街頭募金に立ちました。しかし、青春時代、結婚し商売に懸命に取り組む中で、「禎ちゃん」のこと、兄や多くの友人を奪った「原爆」のことは心の奥に仕舞い、進んで語ることはありませんでした。

 その転機となったのが、広島で開催された第6回女性経営者全国交流会(1995年)。「平和と経営」をテーマに報告の依頼を受けたことでした。被爆当時3歳で、自身の体験が話せないと悩みました。そんな様子を見た川野さんの母は、川野さんを連れ、国泰寺高校の慰霊碑に行き、銘碑に刻まれた兄の励吾さんの名前をなでながら「禎ちゃんとお兄ちゃんのために話さにゃいけん」と背中を押してくれたそうです。今では、年に20回ほど子どもたちに被爆体験を語っています。

 「世界の平和の実現は、未来を担う世界の子どもたちに託すしかありません。そのためには、広島で何が起こったのかを伝える必要があります。命の尊さ、そして困難なことでも団結して継続すれば、成し遂げられることを、世界の子どもたちに伝えていきます。このプロジェクトは、多くの方の志に支えられています。これからもご支援をよろしくお願いいたします。」

※子どもたちに届いたノートの様子はホームページで見ることができます
NPO法人 ピース・マインズ・ヒロシマ
https://pm-hiroshima.com/

「中小企業家しんぶん」 2020年 9月 15日号より