消費者物価上昇と家計消費支出の引き締め

 総務省は、2022年4月分の消費者物価指数を発表しました。2020年を100として、総合指数101.5となりました。前年同月比で2.5%上昇。消費税率の引き上げの影響を除くと、13年7カ月ぶりの上昇率になっているようです。総合指数で1.5ポイント増。急激に物価が上昇していますので、消費税率が上がったような感覚に近いかもしれません。(図1)

 10大品目別に見てみますと、食料全体では、102.9となり前年同月比で4.0%上昇、生鮮食品は105.9で、前年同月比で12.2%も上昇しています。スーパーなどで売られている品物が、10%以上も価格が高くなっていることになり、家計に影響を与えるのは必至です。それより上がっているのは、光熱・水道で114.3となり、前年同月比で15.7%も上昇しています。(図2)

 一方で世帯収入は増えていません。家計調査の2022年4月分を見てみますと、2人以上の勤労者世帯で実収入は539,738円で、これは2カ月ぶりに実質3.5%減少しており、可処分所得も9カ月ぶりに実質減少しています。また、消費支出は304,510円となり2カ月連続の減少で、実質-1.7%減少しています。項目別に見ると被服・履物が8.7%、教育が6.3%、教養娯楽5.4%、光熱・水道が2.5%とそれぞれ前年同月比で上昇しています。一方で、住居が-10.6%、交通通信が-8.1%と支出が減少し、家の設備やメンテナンス、携帯電話料金、移動などを抑えています。物価上昇の中で、家計の引き締めをしている様子が見られます。

 エネルギー高騰、急速な円安が背景にあり、賃金上昇が伴わない悪い物価上昇で、家計の消費支出を抑えているとなれば、コロナの影響もあり景気回復への足かせになる可能性も高いかもしれません。

「中小企業家しんぶん」 2022年 6月 25日号より