日本経済の6重苦が激変

 2021年度の経済白書で2011年に日本経済の6重苦といわれた問題の総括をしています(表1)。2021年の状況と比較すると、(1)円高は解消された、(2)経済連携協定の遅れも解消されたが供給網の混乱は続く、(3)法人税高は低くなったが、賃金に反映されない悪い税金に、(4)労働市場の硬直性は解消されていないが、指標の非正規の増加は悪い指標、(5)環境規制は規制強化も欧米に比べ緩い、(6)電力不足・コスト高は全く解消されていない、と半分は解消されているように見えます。それが2022年にはもともとの資源高傾向がロシアのウクライナ侵攻で加速し、原油高をはじめ、米国金利差からの円安加速、中国のロックダウンによる影響や経済減速の懸念による3つの暗雲からの問題が考えられます。そこで日本経済の2022年度の6重苦(表2)を見てみると、資源高と電気料金上昇、原料高と円安からのトリプルパンチを受けた仕入れ価格や費用高騰問題からの4つの苦渋が発生しており、さらに供給網の混乱とグローバル混乱の影響が半導体不足を中心に発生しています。根本の人手不足も深刻な問題です。まずガソリンが25円を補助しても1リットル170円台と異例の高止まり、さらに電気料金の12カ月値上がりによる影響で全分野がコスト増と重くのしかかっています。その上、電力不足も1万3,045社以上の企業が電力難民と心配され、あらゆる資源が高騰しています。仕入れに当たる企業物価が10%上昇なのに対して、消費者物価は2%上昇と差が拡大、需要があっても半導体不足で典型の自動車は生産ができず、トヨタのランドクルーザーなどは納車4年待ちから新車受注停止になりました。行動規制解除で需要回復が考えられますが、2021年の出生数1.3%減や婚姻数4%減などから人手不足が永久に続くとの懸念。全ての困難が今年いっぱいは続いていく予想です。価格転嫁というより、できる企業は衣替えをして新価格体系へ移行することが不可避になってきます。

「中小企業家しんぶん」 2022年 7月 25日号より