生活者の意識・行動は30年でどう変わった?

 博報堂生活総合研究所は、2022年10月に「生活定点1992-2022」の最新調査結果を発表しています。長期時系列調査「生活定点」は、1992年から2年に1度実施しており、生活者の意識や行動の変化から将来の価値観や欲求の行方を予測するため、同じ条件の調査地域・調査対象者に対し、同じ質問を繰り返し投げかけています。

 調査開始の1992年はバブル崩壊の時期、そこから平成、コロナ禍を経て2022年までが失われた30年です。この間の生活者の意識・行動について、ニュースリリースで2022年に「社会や慣習に縛られず、自律に向かう生活者」と題して過去最高・過去最低を更新した主な項目について紹介しています。

 2022年過去最高を更新した主な項目(表1)を見てみます。「携帯電話やスマホは私の生活になくてはならないものだと思う」が72.8%となり2002年調査から38.7%増加。いわゆるガラケーからスマホに切り替わり、生活必需品になっていることがわかります。プレゼントはあげるものというより、自分へのごほうびとして買うようになっています(46.5%)。メールやSNSだけてやり取りする友人がいて(42.9%)、友人もネット環境で出会うようになっているのでしょうか。働き方も給料より休みの方がよい(51.4%)と、プライベートを重視する傾向になってきていることがわかります。

 次に、2022年に過去最低を更新した主な項目(表2)を見てみます。「友人は多ければ多いほどよいと思う」が15.4%で、1998年調査から41.8%も減少しています。お歳暮も送る人が少なくなっている様子(22.4%)で、失われた30年もあるせいなのか「経済的繁栄は日本の誇りだと思う」は10.3%となり35.1%も減少しています。

 「自律に向かう生活者」とありますが、個人のプライベート重視、個での暮らし、いわゆるおひとり様の生活や自分を重視する傾向になっていることがうかがえます。しかしただ単純に、個というわけではなく、ネットやSNSなどでのつながりがこの30年の間で広がりました。企業としては、この生活者の意識や行動の変化を踏まえ、どんなサービス・商品・製品を提供していくかあらためて問い直す必要があります。

「中小企業家しんぶん」 2023年 2月 25日号より