人を大切にする、ブレない経営~2023年新春講演会【京都】

 京都同友会では、人を大切にする経営学会会長・経営学者・坂本光司氏を招き、新春講演会・賀詞交歓会を開催しました。1月24日、今年一番の寒波が押し寄せ、雪降り積もる中、京都市内のホテルにて開催、約200名の参加がありました。

 坂本氏は中小企業経営論・地域経済論・福祉産業論を専門に研究され、静岡文化芸術大学、法政大学大学院教授を経て、同大学中小企業研究所長ならびに静岡サテライトキャンパス長、人を大切にする経営学会会長など、国・県・市の公務も多数兼任。今回はその8000社を超える企業との関わりの経験から「ポストコロナ時代に問われる企業経営の要諦とは~人を大切にする経営で乗り越える先に見える未来~」をテーマとし、講演しました。

 よい会社とは、いつの時代にも深く議論されているテーマですが、坂本氏は「よい会社とは原理原則を大切にする会社であり、人の命と生活をブレず大切にし続ける会社である」と話しました。企業の追い求めるものは、“業績”という「結果」ではなく関係する人々の幸せの追求・実現という「目的」である。会社経営とは、(1)社員とその家族、(2)社外社員とその家族、(3)顧客、(4)地域住民(特に高齢者や障害者などの社会的に弱い立場の方に対して)、(5)株主・支援機関、この「5人」の幸せに対する使命と責任を果たすための活動であると語りました。また、時代の変化や社会課題についても言及。日本の生産人口が今後20年で1400万人減少し絶対的な人手不足になることなどを示唆しながらも、「よい会社」というのはいくら時代や景気が変化しても変わらない。不安定・不確実な時代だからこそ人を大切にする経営が重要であることを力強く報告しました。

 京都同友会の2025年をめざす「第8次ビジョン」のメインテーマは「幸せに暮らせる地域づくりの核となる経営者集団になろう!」。講演後、「地域企業として地域の核となっていくこと、地域に必要とされる企業になることを再度決意する機会となった」と杉江勝代表理事が謝辞を述べ、労使見解とも通ずる“人を大切にする経営”の根幹を再確認し、決意を新たにする機会となりました。

「中小企業家しんぶん」 2023年 2月 25日号より