身近にあるバリアフリーの商品開発【障害者問題交流会・福岡】

身近にあるバリアフリーの商品開発
障害者問題交流会にすべての都道府県からの参加を

 「バリアフリーの社会をめざして」をテーマに10月26~27日、福岡で開かれる第13回障害者問題全国交流会(中同協主催)まで、あと1カ月をきりました。中同協と設営を担当する福岡同友会では、まだ障害者問題委員会のない同友会も含め、すべての都道府県からの参加を、と呼びかけています。連載最終回では、記念講演と福岡同友会担当の分科会を紹介します。

▼記念講演
 講師の松尾清美氏は、大学工学部機械工学科在学中の交通事故で脊髄を損傷。以来、車イスの生活です。大学卒業後、労働災害による脊髄損傷者のための脊損センターで福祉機器の開発・改良に携わりつつ、建築士の資格も取得。現在は佐賀大学医学部助教授です。

 機械工学と建築士の専門分野の知識を生かした「適切な補助具と環境を整えれば、障害者の障害は無くなる」との信念に基づいた具体例を挙げての講演は、住宅設計・施工関係者ばかりでなく「親との同居を考えていたのでリフォームの参考になった」等、幅広い方々に好評です。

▼第2分科会
 報告者は宮崎栄二氏((株)リフォーム三光サービス社長)。倒産後の苦難を乗り越えて再起した時、最初に入社してくれた方が障害のある方で、創業時の苦労に落ち込みがちの宮崎氏を手話で励まし、支えてくれました。以来、障害者雇用100名を目指して挑戦中です。

▼第3分科会
 報告者の石津純江さん((株)T&Iインターナショナル社長)は、亡夫が残した婦人雑貨小物の製造販売業を続ける中、大学生活中にくも膜下出血で倒れて麻痺の残った有田直子さんのエッセイを読み、「人の手を借りて下着をつけるつらさ」を知り、自社商品の中から何とか役立ちそうな品を抱えて駆けつけました。

 以来、有田さんと二人三脚で始まった「片手で着られておしゃれも楽しめる下着創(つく)り」。口コミで広まった評判を聞いて、杖をつきながらお店を探して訪れるお婆さんや、1人で着られた時のパッと輝く表情に励まされて続けている商品開発は、昨年、福岡産業デザイン賞環境福祉部門で奨励賞を受賞。分科会には有田さんも参加の予定です。

▼第5分科会(見学分科会)
 福岡同友会バリアフリー委員会には、養護学校の職場体験実習をきっかけに、数年前から福岡市7養護学校と北九州市3養護学校から進路指導と就職指導の先生方が、毎月のバリアフリー委員会の例会に参加しています。お互いの意見や考え方を理解しあう中から障害者雇用企業の裾野を広げ、障害者の雇用チャンスを増やそうという方針に基づいた活動です。今回は、日ごろから委員会に熱心に参加している一般就労を目指す福岡市立養護学校博多高等学園を見学します。

(福岡同友会バリアフリー委員会 林田 悠紀子)

「中小企業家しんぶん」 2006年 10月 5日号より