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地域の若者が夢を持てる社会づくりへ~京都から全国に広がる運動の輪

児童養護施設・里親家庭の子どもを対象とした適職探索支援・京都

 京都同友会のソーシャルインクルージョン委員会は(1)障害者就労部会(2)社会的養護部会(3)求職困難者就労研究部会に分かれて活動を行っています。同友会の連携により、社会的養護部会の進める児童養護施設・里親家庭の子どもを対象とした適職探索支援の活動が全国に広がっています。今回は土井善子・(有)思風都代表取締役会長(京都同友会会員)から全国に受け入れ実習が広がった経緯を、また、実習を受け入れた岡山旭東病院(岡山同友会会員)の声を紹介します。

(有)思風都 代表取締役会長 土井 善子

 児童養護施設とは親や親戚が何らかの事情で育てられず、社会的な擁護を必要としている子どもたちが過ごす施設です。原則18歳以上になったら施設をでなければいけません。施設を出た子どもの約70%が就職しますが、1年以内に40%、3年以内に70%が仕事をやめてしまいます。お金もあまりないなか、住むところとお金を求めて好ましくない就職を選択する子が少なくありません。そんな子どもたちに職場体験や仕事を知ってもらい、一人前の社会人になるサポートをしたいと京都同友会ソーシャルインクルージョン委員会の社会的養護部会では「適職探索支援」として活動を行っています。

 昨年10月22~23日に行われた第18回障害者問題全国交流会第5分科会で「夢がもてる若者を1人でも2人でも~児童養護施設・里親家庭の子供を対象にした適職探索支援とBefriending~」をテーマに報告を行いました。

 この分科会に参加していた髙橋正志・岡山同友会障害者問題委員長に将来看護師をめざしたいという生徒の実習の相談したところ、操風会岡山旭東病院の土井章弘院長につないでくださり実習が実現しました。

 また、もう1人の生徒は4月から声優をめざし東京の養成所に通うことになりました。東京に1人では不安なことが多々あると思い、相談相手として3鴨岐子・東京同友会障害者委員長にお願いしたところ、快く引き受けてくださり、その上同友会企業のアルバイト先までご紹介してくださいました。彼女は今、養成所とアルバイトを両立しながらがんばっています。

 今回のような県をまたいだ連携は同友会だからこそできたのだと思います。将来を担う若者を大切につなぐことができました。

 施設で育った子どもたちは置かれた環境から1度は大人を信用することを諦めかけていたかもしれません。しかし中小企業のおじちゃんやおばちゃんが、自分たちの夢の実現に向け、京都だけではなく、全国でも応援してくれる人たちがいることに大きく励まされたのではないでしょうか。4月19日には岡山の実習について施設内で発表会を行いました。先輩たちの誇らしげな発表を聞き、後輩たちも夢を持っていいのだと感じ取ったと思います。

 地域の若者に仕事を通して希望を持ってもらう。まさに「人を生かす」の実践ではないでしょうか。

児童養護施設の子どもたちの適職探索支援の実践に感動して

操風会岡山旭東病院院長・岡山同友会常任相談役 土井 章弘

 私は、1月29日、髙橋正志障害者問題委員長(岡山同友会・(株)マスカット薬局代表取締役)から電話をいただきました。土井善子さんの依頼で、「児童養護施設の生徒さんの支援をお願いしたい。京都の学校にいる18歳の女子で、将来看護師の道を歩みたいが、決断がつかない。ついては職場体験を」という申し出でした。

 2月24日京都同友会支部合同例会で報告させていただいた時に、児童養護施設の子どもたちの適職探索支援を推進している土井善子さんと前川順・ジュン・ブライダル社長(京都同友会会員)にお会いできました。また、3月24日には、土井善子さんに岡山の支部例会で「人を生かす経営の実践!!」の熱い思いの報告をしていただきました。

 前川さんや土井さんと話し合い、京都同友会が行っている児童養護施設の児童など、職場実習を積極的に受け入ている活動に感動いたしました。

 3月23~24日に、実習を受ける生徒さんは児童養護施設の担任の先生と一緒に遠路岡山まで来られました。生徒さんは、病院で1泊し、看護体験を経験されました。

 京都同友会が行っている児童養護施設の適職探索支援は、故赤石義博・中同協顧問が話していた一人ひとりの「かけがえのない人生を生かし、人間らしく生きる」の素晴らしい実践活動であると思います。今回のように全国へ運動が広がることを願います。

実習を受け入れて

操風会岡山旭東病院 看護部次長 加治 美保子

 3月23日午後から24日午前にかけて、京都に在籍している高校3年生の就労体験を当院で引き受けることになりました。彼女は将来看護師になりたいという希望を持っているという情報を得ていたので、看護師や介護福祉士の仕事を中心に実習プログラムを立てました。

 京都から5時間以上かけてバスに乗り、疲れた表情もなく笑顔の可愛い元気な女の子でした。当日は病院や看護部の紹介と院内見学後に院内ディケアを見学していただきました。翌日は検温やトイレ介助、患者や家族とのコミュニケーションの場面など看護師の仕事について体験していただきました。夜も患者体験の目的で病室に泊まっていただきましたが、少し寂しかったようです。

 4月19日に行われた報告会では、就労体験を通じて漠然としていた看護師という職業が明確になったこと、また将来看護師になる決意が固まったことを話してくれました。彼女の人生の意思決定の1場面に関わることができ、とてもうれしく感じました。

 このような機会をいただきまして、ありがとうございました。

*ソーシャルインクルージョンとは

 「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活に繋げるよう、社会の構成員として支え合う」という理念であり、EUでの社会福祉再編にあたる上での中心的政策課題です。日本では2000年に厚生省が「21世紀の社会福祉の在り方」として提言しています。

「中小企業家しんぶん」 2016年 6月 15日号より

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