【連載】同友エコ受賞企業〈同友エコ奨励賞〉時代の流れと共に事業が「省エネ推進へ」~「環境経営」と「健康経営」の【和】~研冷工業(株) 代表取締役 酒井 巳喜雄氏(新潟)

 同友エコ2021受賞企業を紹介する連載。第7回目となる今回は、同友エコ奨励賞を受賞した研冷工業(株)(新潟同友会会員)の取り組みを紹介します。

業務から生まれた環境経営

 研冷工業(株)は、主に法人・施設向けに空調・衛生・電気設備、省エネ提案、メンテナンスなどを行う建設業を行っています。1973年に冷暖房設備の施工業者として設立し、今年2023年に設立50周年を迎えます。2006年にはISO9000を認証取得、その後ISO14001を2012年に追加取得しました。正直なところ、これらの取得は業務上の利点(既取得工場との直接取引の継続、入札時の加点)に関する側面が強いものでした。同社の業務内容は、昨今のエネルギー問題やSDGsに深く関わるものです。省エネ事業を展開する中で、時代の流れに沿って、エネルギーの節約や効率のよい設備機器の導入、適切なメンテナンスによる機器の長寿命化を提案・推進してきました。

 ISO14001の取得に際し、社内では環境方針を掲げました。基本理念を「同社は、建設設備が地球環境に大きな影響を持つことを自覚し、環境負荷の低減への取り組みを行い、社会の一員として環境の保護と環境の改善に継続的に取り組む」とし、行動指針として(1)建設設備の営業・自社設計の段階において、省資源・省エネルギーなどの環境保全への配慮を提案し、施工・保守の段階においては環境保全や汚染の防止、建築副産物の削減、リサイクルの促進、フロンの適正処理に努める。(2)オフィス活動において、資源やエネルギーの有効活用と使用量の低減に努める。(3)環境に関する法規制、および会社が同意する環境対策や業界の行動規範を遵守する。(4)環境マネジメントシステムを確立し、環境目的・目標の設定、実施、見直しを行い、継続的改善を図る。(5)地域社会の一員として、環境の保護と改善を目的とした活動を実施する。(6)全社員に環境方針の周知徹底をし、環境活動の情報伝達、教育、啓蒙を行うとともに、ホームページにて環境方針を一般に公開しました。

 当初は「環境対応も単なる業務」と感じていた社員が、お客さまから省エネ・省CO2による補助金交付や同社の適切な機器メンテナンスによる設備機器の安定稼働により、感謝の言葉を頂く場面が増えました。徐々にSDGsという言葉がないころから、日常業務の中に環境に関わる改善に注力していくことが、お客さまのためにも自社のためにもなるという意識が浸透していきました。

企業としてめざす「環境経営推進」そして「ひとを大切にする経営」へ

 2017年3月、酒井巳喜雄氏が代表取締役に就任し、「会社・社員にとって必要な改革をしよう」と、さまざまな取り組みを始めます。その1つが 自称省エネに強い会社ではなく、公に認められた資格「ZEBプランナー」の取得です。

 今、同社の課題はこれらの施策を受動的でなく、積極姿勢に反転していくことです。そのためにも、社員たちが安心して業務に集中できる環境を整えていくことが必要だと酒井氏は話します。そのために「健康経営」に取り組み、社内の各種数字が改善し始めていました。しかし、匿名の社内アンケートを行った結果、一部現業部門に大きな負担がかかっていることに今更ながら気づきます。

 社是は「和」。お客さまの快適な環境と環境改善への取り組みを、実際に提案し実施しているのは社員です。その社員一人ひとりと向き合い、オンとオフを共に大切にし、会社に関わる方すべてを大切にしていきたいと考え、今年度から会社数値目標を売上から時間外労働時間+有給取得率に方向転換しました。

 新たなチャレンジが始まります。

会社概要

設立:1973年5月
資本金:3,000万円
従業員数:34名
事業内容:空調・衛生・電気設備、省エネ提案、メンテナンス
URL:https://www.kenrei.com/

「中小企業家しんぶん」 2023年 4月 5日号より