「中小企業魅力発信月間」シンポジウム 若者に選ばれる企業づくりの処方箋【鹿児島】

鹿児島同友会では、7月20日の「中小企業の日」にあわせて「中小企業魅力発信月間」シンポジウムを開催しました。「若者に選ばれる企業づくりの処方箋」をテーマに、産官学からパネリスト4名と現役大学生2名を交えてパネルディスカッションを行い、学びを深めました。

まず、各パネリストより現状などについて報告がありました。鹿児島市の中馬産業局長より、地域振興には若年層の地元での就職が欠かせないものの、鹿児島市の人口流入・流出の状況について「2020年と2021年は新型コロナの影響で人口が増加したが、2022年以降は減少に転じる予想」と説明がありました。また、志學館大学の志賀学長補佐より「新型コロナの影響によりオンライン授業となり、対面での接触機会が減って、コミュニケーションが不足している。学生が社会に出た際のマナーなどを不安視している」との発言がありました。これに対し、鹿児島同友会の前薗氏から「いつの時代も“最近の若者は”と言われるので、そこまでマナーを不安視することはないのでは」とフォローする場面もありました。また、どんな企業に就職したいか尋ねられた学生は、「自分のやりがいと業務がマッチすること」や「その会社で個性を発揮して働けること」を挙げていました。

地域に若者が残るためには、それぞれが何をすべきかとのコーディネーターからの問いに対し、鹿児島同友会の田實氏は「経営者も同じ地域に生きる大人として普段から学生と接し、地域のよさを伝えていくべき」と回答しました。また、学生からは「行き先がないから鹿児島に残るのではなく、鹿児島のことが好きで残る、県外に出てもまた戻ってきたいという人を増やし、持続可能な地域をつくるべき」との発言がありました。前薗氏からは「1度県外に出て、鹿児島の魅力を見つけるのもよい。地元の企業ができることは魅力ある会社をつくること」との発言がありました。

学生が発した“鹿児島のことが好き”という視点は、われわれが普段意識しているようで、実践できていない部分かと思います。それぞれの地元のよさを見つけて、常日頃から、職場や家庭で、周囲の方々に伝え、思いを共有していくことが、若者の地元定着につながっていくのではないでしょうか。

今回のような取り組みを通して、地域経済を支える中小企業の役割や存在意義を改めて考えるきっかけをつくり、中小企業振興条例制定に向けた活動を推進していきたいと思います。

パネリスト

・鹿児島市 産業局長…中馬 秀文氏
・志學館大学 学長補佐/法学部教授…志賀 玲子氏
・(株)コマロック 代表取締役…前薗 栄作氏(鹿児島同友会)
・(有)大洋商会 代表取締役社長…田實 玲氏(鹿児島同友会)
・志學館大学 法学部 法ビジネス学科3年…福留 太陽氏
・鹿児島国際大学 国際文化学部国際文化学科 英語・欧米文化コース3年…山口さくら氏

コーディネーター

・マンガプロジェクト鹿児島 理事長…四元 重美氏(鹿児島同友会)

「中小企業家しんぶん」 2023年 9月 5日号より