同友エコ受賞企業(外部審査委員賞)
地元の木材で、キラリと光る企業へ
(株)ユダ木工 代表取締役 湯田卓氏(広島)

 同友エコ2022-2023受賞企業を紹介する連載。第4回目となる今回は、外部審査委員賞を受賞した(株)ユダ木工(広島同友会会員)の取り組みを紹介します。

取り組みの始まり

 ユダ木工(株)は1924年に創業しました。来年100周年を迎えます。古くは山口市のザビエル記念聖堂のドア制作に携わり、現在の同社の玄関は、そのレプリカが使われています。高気密・高断熱の木製ドアを中心に全国に販売する、木製建具メーカーです。

 湯田氏の大きな転機になったのが、2006年に同友会の仲間である永本建設(株)永本社長が中心になって進める「漁民の森」運動に参加したことです。活動を通じて山林荒廃の状況を知った氏は、国産ひのき材による製品作りにシフトします。

経営理念の展開からビジョンづくり

 経営理念「本物の木による楽しい生活のご提案」を2005年に掲げました。2008年から経営指針の発表会を行い、会社・社員共に「もっと幸せになるために」の思いを共有するようにしています。2011年には全社的な環境問題の検討会を討議し、社員の中で環境への意識が高まってきました。それを「葉っぱの世紀のはじまり」と表現しています。2021年には「夢ビジョン委員会」を立ち上げ、「2030Vision」をまとめ上げ、行動計画づくりを進めました。すぐできるものはすぐやる、そうでないものは、じっくり取り組むことになりました。

まずはバイオマスボイラーの導入から

 木材人工乾燥機は、灯油使用のボイラーを併用していましたが、能力の高いバイオマスボイラーに転換。灯油消費量を少なくしました。工場から出る廃材もすべてチップにすることにより、丸太1本をすべて使い切ることを心掛けています。

 梱包用発泡スチロールを、紙素材の緩衝材に変更。養生用ビニールもサトウキビ由来のものに替えました。接着剤の刷毛(はけ)の洗浄水を処理、分離してきれいな水のみを排水に流し、分離した接着材の固形分は適正処理します。工場の照明器具は全てLEDに替えました。

 自社で使う塗料は自然由来の物を使用し、石油由来の塗料は避けています。使用する木材は地域のひのき材。2005年には外材使用率100%でしたが、現在は国産材使用率を100%を実現しました。

2030年にカーボンオフセット実現をめざして

 2030年にカーボンオフセットを実現することを宣言しました。毎年CO2の排出量は算出するとともに、昨年はJ-VERで5トンの森林系のCO2クレジットを購入しました。

 年間1400本のひのきの丸太を購入していますが、今年は1400本分の植林用の苗木購入費にあたる50万円―CO2換算50トンのクレジット購入をしました。購入先の植林にも全社員で参加し、山との交流も深めています。

今後に向けて

 「葉っぱの世紀の始まり」の理念を発信するための方法を模索中です。SDGsの17の目標に対して、事業活動を通じて何ができるのを、社員とともに考えていきたい、と湯田氏は語ります。

会社概要

資本金:4,500万円
事業内容:高級木製ドアの製造・販売、造作材・インテリアパーツの製造・販売
社員数:47名(パート含む)
URL:https://www.yudawood.com/

「中小企業家しんぶん」 2023年 9月 5日号より