【全国支部長インタビュー】第14回
富山同友会・高岡支部 浅井千春支部長((株)with One代表取締役)
一体となって地域の活性化に取り組む

 全国の支部・地区を紹介する連載企画「全国支部長インタビュー」。第14回となる今回は、富山同友会・高岡支部(浅井千春支部長)の取り組みを紹介します。

支部の紹介

 高岡支部は富山同友会を構成する7つの支部の1つです。高岡市は人口17万人という、県内では富山市の次に大きな市です。古く万葉の時代から栄えた街で、特に明治以降は商工業都市として高岡銅器の生産を中心に栄えてきました。しかし、近年では銅器産業の衰退とともに、多くの地方都市と同様に人口流出・空き家問題などが顕著となっています。

 高岡支部の活動を会員一人ひとりにとってより身近なものとするために、5つの委員会を設置しています。その中でも注目していただきたいのが今年設立した「地域交流委員会」です。高岡支部では、昨年度から行政と連携して地域課題に取り組むための形を模索しており、昨年開催した高岡市長を囲む例会は、地域課題と自社の事業との関わりを実感する場となりました。今後も行政と一体となって地域活性化に取り組んでいきたいと考えています。今年度は地域の中高生を対象としたインターンシップの充実と就労困難者を対象とした職場体験実習のシステム構築を進めています。

支部長の紹介

 2015年(起業3年目)に同友会に入会しました。精神科の病院に勤めていた際に、能力があるのに会社に定着できない患者さんに多く出会い、人手不足の社会とマッチングできればお互いのためになると考え起業しました。わが社は障害福祉サービス(就労継続支援A型とB型)を行っていますが、コロナ禍で家にいる時間が多くなっていた中、地域の人々の交流の場として2年前にカフェをオープンしました。また、月に2日はカフェの中に食堂を開き、1食300円の定食を提供しています。近所で暮らす1人暮らしの高齢者や障害者などが、地域の人々と一緒に食事ができる場をめざして取り組んでいます。

 これまで医療・福祉という狭い世界で仕事をしていた私にとって、同友会でのいろいろな会社や社長との出会いはとても新鮮でした。体験報告を通じて問題の捉え方・問題解決の方法・社員との関係性などさまざまなことを学ばせていただきました。

仲間づくりの取り組み

 富山同友会では、会員増強のために2年前から「会員増強プロジェクトチーム」を作って毎月「同友会を知る会」を企画しています。7つの支部で企画を持ち回りし、全県一丸となってゲストの呼びかけやフォローを行っており、毎回入会者を獲得することができています。この活動の継続により、会員増強が全会員の課題であるという雰囲気ができあがり、既存会員の関係強化にもつながっているように思います。

 高岡支部では、ベテラン会員から同友会理念やよい会社づくりなどについて学ぶ「3つの目的を学ぶ会」を「会員研修委員会」主催で昨年度から開催しています。主に入会3年未満の会員を対象にしていますが、それ以外の会員も多く参加しており、理念経営についてわかりやすく学ぶことができる場となっています。また、企業訪問してレポートを作成・発表してもらう「経営レポート委員会」にも取り組んでおり、最近ではグループワークに社員が一緒に参加するなど、社員の声を聞くことができる貴重な機会にもなっています。

 自分たちの活動や姿勢を振り返りながら、これからも中小企業や同友会の魅力を地域に伝えていきたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2023年 9月 5日号より