世代間のギャップ―X世代・Y世代・Z世代・α世代

 Z世代という言葉をよく聞くようになりました。Z世代は1995年ごろ~2010年ごろまでに出生した世代を指し、2023年現在13~28歳で中高大学生や若手社員の世代です。リーマンショックや東日本大震災、感染症の流行など経済社会に大きな影響があった出来事の中、スマホやタブレットを活用しながら、インターネットやSNSとともに成長してきた世代と言え、デジタルネイティブやSNSネイティブと言われています。

 そのため、環境問題や貧困などさまざまな社会問題に高い関心をもち、SDGsへの取り組みなど、社会問題に対して自分自身の考えを持っている傾向があります。またコスパではなく、時間効率を追求する「タイパ(=タイムパフォーマンス)」という言葉があり、「倍速」再生などで映像を見たり、情報を収集するなど、Z世代は「タイパ至上主義」であるとも言われます。日本の人口に対するZ世代の割合は約15%ですが、世界の人口に対するZ世代の割合は約32%と世界では3人に1人がZ世代という状況で、すでに消費への影響力を持っているため注目されています。

 Z世代があるならば、X世代、Y(ミレニアル)世代もあります。X世代は1960年生まれから1979年生まれで、2023年現在40代~60歳前後です。X世代はアナログ技術の中で生まれ、デジタルテクノロジーの急激な発展とともに成長してきました。幼少期にテレビやラジオ、ゲーム機などで楽しみ、成人後にインターネットの普及を体験しています。競争社会のもと、個人主義で能力主義の傾向があり、社会的地位を意識し、高級品やブランド品などのステータスを表現する消費傾向があります。

 Y世代は1980年から1995年に生まれた世代です。2000年代に成人・社会人になり、ミレニアル世代とも言われます。28~43歳のアラサーからアラフォー世代です。幼少期からインターネット環境があり、ガラケーと呼ばれる携帯電話ではなくはじめからスマホを活用している人が多く、インターネット検索やSNSにはじめからなじんでいます。子どものころから経済安定期の中でのグローバル社会で育ち、日本ではデフレ経済で給料が上がる実感がない世代です。そのためワークライフバランスやミニマリズムを好み、消費は「モノ消費」というより「コト消費」で、体験や旅行など楽しさや豊かな人生につながるような消費行動の傾向にあります。

 X・Y・Z世代の次の世代は何かと調べてみると「α世代」でした。2010年以降生まれで多くが小学生以下の世代です。将来の消費を担う世代として注目度を上げてきており、2025年には全世界で20億人に達すると言われています。幼少期にコロナ禍を迎え、義務教育課程からプログラミング教育が行われています。タブレットを通じたオンライン授業が日常的にあり、宿題を動画で撮影して先生に送信して提出することもしているようです。

 このように、成長期を過ごした時代背景や考え方、消費行動が世代間で異なります。どの世代をターゲットとするかで、好まれるサービスや商品などが変わるということなので、経営戦略や事業の再構築には知っておくべきことでしょう。

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「中小企業家しんぶん」 2023年 9月 15日号より