日本の1人当たりGDPは低水準、今後さらに低下

 豊かさの基準とされる国民一人当たりの国内総生産(GDP)。OECD加盟国におけるその推移を見てみると(表1・2)、日本は1970年に19位で先進7カ国(G7)の最下位、80年に17位に上昇して英国をいったん抜き、90年にはOECD平均を上回っていました。しかし、2008年以降は平均以下が続き、17年にイタリアに抜かれて再びG7で最下位、18年には韓国にも抜かれました。95年以降、加盟38カ国のうち、日本は96年に5位で最高、その後低下し、2001~2016年まで16~18位、17~20年まで20~22位、21年は26位、22年は27位となっています。長期の推移で見ると、高度成長の一時期を除けば、日本は豊かというよりむしろ低い水準です。

 さらに、実態は国際通貨基金(IMF)の数値が近いと思われますので、IMFの出している日本のデータを見ると、2000年に米国を抜いて世界2位になった以降は急速に低下し、21年は27位と、コロナ禍からの回復遅れに加えて円安での低下が一層進行していることも分かります。

 23年12月25日に内閣府が発表した2022年の1人当たりの名目GDPは、ドル換算で3万4,064ドルと円安の影響で前年の4万34ドルから大きく減らし、G7で最下位。OECDに加盟していない中国は1万2,720ドルでした。日本は、比較可能な1980年以降で最も低い数値となりました。国全体の名目GDPでは、円安の影響でドイツに抜かれると言われていましたが、日本は4兆2,601億ドルと、米国、中国に次ぐ3位を維持した一方、世界全体に占める割合は4・2%(21年は5・1%)となり、80年以降で最低でした。GDPは今後伸びていくと見るのではなく、マイナスになっていくと想定した方が現実的と思われます。

 人口減で1人当たりのGDPも減少し、結果として消費減が予想されますので、コロナ禍からの回復は続くものの、長期の経営計画では同じ商品の売上は減少することを考慮する必要があるでしょう。

(表1)OECD加盟国の国民一人当たりのGDP
(表2)国民一人当たりGDPの日本の順位

「中小企業家しんぶん」 2024年 1月 25日号より