同友エコ2023-2024のまとめ 
同友エコアンケートにご協力を 
中同協環境経営委員長/弁護士法人赤津法律事務所 代表社員 赤津 加奈美

中同協では、毎年(8月~12月の期間)「同友エコ」として「環境経営・エネルギーシフト・SDGs」に関するアンケートを実施しています。2023年度は1764社から回答があり、専門家の協力も得ながら同友エコ2023―2024の受賞企業が決定しました。中同協環境経営委員長によるアンケート結果のまとめです。

環境経営を実践しましょう

 環境経営に取り組む理由に、自社事業にとってリスクの低減やチャンスになるから、との回答が増えてきています。

 すでに世界の金融・経済は、脱炭素と生物多様性の目標を掲げ、サーキュラーエコノミーでこれらを実現すべく動き始めています。これは「スコープ3」(サプライチェーン排出量のうち、自社事業の活動に関連する他社の排出)を通じて、中小企業にも現実の経営課題となりつつあります。

「同友エコ」で環境経営実践

 中同協は活動方針で、企業づくりの一環に環境経営の実践を掲げています。その具体的取り組みとして同友エコアンケートの回答を提唱しています。今年もすでに8月から始まっており、12月まで実施していますので、ご協力をお願いします。

表彰制度もあります

 アンケート回答は集計後、厳正な審査を行い、優れた実践企業の表彰もしています。表彰式は、来年5月ごろ、オンラインで予定しています。大賞(会長賞・幹事長賞)受賞企業は、全国大会などの分科会報告者の候補になる可能性もあります。

昨年度アンケート結果

 昨年度は、1764社(前年1583)34同友会(前年31)から回答があり、回答率は最高13・8%でした。環境経営委員会では、全同友会から合計2030以上の回答を目標にしています。

 回答結果から見られる具体的な取り組み内容として、再生可能エネルギー関連事業の取り組み、再エネ電力への切り替えが着実に増えてきています。

 建築関連でもZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、省エネリフォームの取り組み、廃棄物処理関連でもリサイクルの取り組み、農林水産業関連でも地産地消の取り組みがそれぞれ広がってきています。

「環境経営」の取り組み分野についての回答結果

見えてきた課題

 他方で、BCP(事業継続計画)は、「策定していない」「知らない」が約6割、「その他」の回答を含めると約8割になりました。

 スコープ3については、「知らない」が5割以上あり、「その他」の回答を含めると7割以上になりました。ただ、すでに取引先から取り組みを求められている会員企業も出てきています。

 BCPもスコープ3も、数年内には全ての中小企業に現実の経営課題となることが予想されます。同友会として早急に、啓発・学習の取り組みが必要と考えます。

アンケート回答のポイント

 会員経営者がご自身の責任で回答するようにしてください。環境経営はトップマネジメントですから、担当者に丸投げは同友会的ではありません。

 各設問は選択肢ごとに点数があり、配点はe.doyu(中同協)「掲示板」「環境経営委員会」で公表しています。同友エコ表彰の1次審査はこれによっています。企業規模や自社の経営資源に応じた取り組みであればよく、自信をもって回答してください。

 重要なのは取り組み内容の自由記載欄です。同友エコ表彰の2次審査(専門家と環境経営委員会正副委員長)と最終審査(環境経営委員会と会長、幹事長)では、自由記載内容が重要な要素として考慮されます。地元同友会から評価されているのに自由記載が謙虚すぎではもったいないです。

各地同友会でもご活用ください

 回答結果は各地同友会でも把握できます。環境関連委員会の立ち上げや増強など、環境経営の普及にお役立てください。素晴らしい環境経営実践企業が発見できますよ。

「中小企業家しんぶん」 2024年 10月 5日号より