【全国支部長インタビュー】第27回 
岡山同友会・倉敷支部 平井啓之支部長((株)日の丸タクシー 代表取締役) 
地域の課題を自社の課題と捉え、仲間づくりの輪を広げる

 全国の支部・地区を紹介する連載企画「全国支部長インタビュー」。第27回となる今回は、岡山同友会・倉敷支部(平井啓之支部長)の取り組みを紹介します。

支部の紹介

倉敷支部は、倉敷市を中心に岡山県南西部に位置する5市3町を管轄し、129名(2024年10月時点)の会員が所属しています。今年度の支部例会は『企業変革支援プログラムVer.2』を深めることに注力し、各社の経営力の向上と問題解決につながる学びをめざしています。近年は地元高校の出前授業や支援学校の実習受け入れ、行政との交流といった地域に関わる活動も増えています。またエリアが広いため、5地区に分かれて地域ごとの活動も展開しています。

地区会では、ランチミーティングや経営相談会など、支部全域の活動ではカバーしきれない身近な会員同士の交流を重視しています。

支部長の紹介

 私は1999年に入会しましたが、当初はほとんど同友会に参加していませんでした。

 転機になったのは経営指針成文化研修会です。そこで初めて自社の課題が明確になった気がして、例会にも顔を出すようになりました。2006年には支部役員の役をいただき、24年に支部長を拝命しました。

 わが社は2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けました。一時は真剣に会社を畳むことも考えたのですが、その時に頭をよぎったのは、東日本大震災で被災した会員の方々が「雇用は必ず守る」「1社もつぶさない」を合言葉に必死の思いで事業再建に取り組まれたことでした。運転手が冠水した町の中をお客さまのお迎えに上がった時、「こんな状況でまさか来てくれるとは思わなかった」と感激してくださったことにも勇気づけられました。自宅が被災した社員が「2度と会社に戻れないかもしれないと思っていたが、また元の職場で仕事ができてうれしい」と言ってくれたことも大きかったです。この時の経験が当社の社会的使命を強く実感するきっかけになりました。現在も会社が続いているのは同友会の学びがあったからだと思っています。

仲間づくりの取り組み

 16年度には支部会員が88人にまで減ってしまったのですが、その後は反転して昨年は122人まで回復しました。特に今年度は9月時点で129人(純増率5・7%)となり、早くも年度目標を超過達成することができました。新しいことを始めたわけではなく、歴代の支部長が地道に続けてきたことがようやく実を結び始めたのだと思います。

 具体的には、支部内に増強に対する意識を広げるために地区レベルでもオブザーバーのフォローを徹底することや、新会員に対する迅速で丁寧なフォローなどです。新しい方が入会したら役員ができるだけ早く訪問して同友会の説明とヒアリングを行い、行事にも一緒に参加するようにしています。

 現在は仲間づくりの担い手が役員中心になってしまっているので、その輪を支部全体に広げていくことが課題です。地域の課題を自社の課題と捉え、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら仲間づくりを進めていきたいと考えています。一刻も早く過去最高会勢である155人(92年)を超えるよう支部のみんなと頑張っていきたいです。

「中小企業家しんぶん」 2024年 11月 5日号より