【企業変革支援プログラムの活用】
『企業変革支援プログラムVer.2』を社内・同友会内の共通言語に

 中同協は、2022年10月に『企業変革支援プログラムVer.2』を発刊しました。今回は、岡山同友会理事/広報委員長の山下秀男氏((株)イケル 代表取締役)の活用事例を紹介します。

 経営指針成文化研修会を受講後、2013年から『企業変革支援プログラムステップ1』に取り組み始めました。当初、表示されたいびつな円グラフを見ても、それがいいのか悪いのかを判断することができません。全国平均や、自社と社員数・創業年・入会歴が近い他社との比較を通じて、ほとんどの項目が問題点であることは認識しましたが、それを具体的な取り組みに落とし込むのは難しく、「どうすればよいか分からない」という状態でした。その後も経営指針書を更新しながら取り組みを続けることで、次のようなことが見えてきました。

習慣化することで効果を実感

 例えば、決算書の結果が好転したり、社員教育の取り組みが進展したりすると、自己評価が高まる一方で、そうでない場合には厳しい評価を下しがちです。経年推移を考慮することで、偶然の成果と意図的に得られた成果を区別し、さらにそれがどれほど定着しているかを深めることが重要だと感じています。自己評価を見直すとともに、経営指針書を長期的な視点で再評価する必要性を認識しました。理想的には自主的な取り組みが求められますが、実際には周囲の会員の活動を参考にしながら、受け身で始めたものが次第に習慣化され、その効果を実感できるようになりました。

プログラムは社員や仲間との共通言語

 同プログラムの『Ver.2』には、「公私の区別」「率先垂範」「自責の姿勢」「約束の遵守」などを問う項目があります。幹部と共に、自社で実践できているかどうかを意見交換しています。「実践例、考えられる取り組みの例」には、解釈が異なるものや自社にとって優先度が低いテーマもありますが、こうした内容をもとに意見交換を行うことによって、会社としての基準や物差しをすり合わせ、共通認識を深めることにつながっています。

 昨年、岡山同友会は「今日は1日『企業変革支援プログラム』三昧♪」と題して経営者フォーラムを開催しました。自社での自主的な取り組みも重要ですが、フォーラムを通じて会員同士が同じツールを使って相互に研さんし合うことも大切だと感じました。会員が作成した円グラフを参考に、自社の評価方法と他社のそれがどう異なるかを考えることで、経営課題や取り組みの比較が可能になります。評価や考え方を議論することで、自社に合った改善点が見えてきます。

 振り返ると、初めて取り組んだ、経営者としても3年目という段階では、分からないことが多いのは当然だと思います。問題が見えにくく、教わっても理解したような気になるだけで、納得感が低かったと思います。これは企業変革支援プログラムのレベル0、「課題や必要性を認識していない状態」に相当します。そこから一歩進むためには、実践が欠かせません。自主的な取り組みも大切ですが、仲間同士が「企業変革支援プログラムをやったか?」と声を掛け合い、互いに刺激し合うことで信頼関係を深め、実践的な成長につながります。社内でも幹部との関係において同様の姿勢を反映させ、より実践的な活動を進めることができると感じています。周囲と共に取り組みを促進し、共に成長することで、プログラムをより有効に活用していきたいと思っています。

岡山同友会理事・広報委員長/(株)イケル代表取締役 山下秀男

「中小企業家しんぶん」 2025年 2月 5日号より