シェアフル(株)は同社が提供するアプリユーザー(求職者)を対象に、「年収の壁に関する実態調査」を実施し、2024年12月23日に結果を発表しました。42,131名の回答があり、年収の壁や就業調整の状況についての実態が明らかになっています。
全体では年収の壁を「意識している」が47%、「意識していない」が53%となっています。年代別では10代以下が最も多く76%、属性別で見ると、学生の71%、主婦・主夫の63%が「意識している」と回答しています。年収の壁を意識している中で、最も割合が高かったのは所得税の支払いが発生する103万円の壁で全体の23%。住民税の支払いが発生する100万円の壁は7%、社会保険料の支払いが発生する130万円の壁は同じく7%となっています(図1)。103万円の壁を意識していると回答した割合が最も高いのは10代で、56%となっています。
次に職業別「2024年11月の就業調整実績」を見てみます(図2)。「就業調整を実施した」と回答した人は全体の56%。また、「例月の0%(1時間もはたらいていない)」は全体の26%となっており、実に4人に1人が就業調整により1カ月間働いていない状況です。「例月の1~39%程度」が9%、「例月の40~59%程度」が10%、「例月の60~99%程度」が11%となっています。逆に「例月の100%(就業調整していない)」が44%でした。
昨年10~12月に中同協が実施した「経営実態アンケート」(回答数946件)では、「就業調整をしている社員がいる」が35.0%、「いない」が63.6%となっています。就業調整における問題・対応では、「かなり深刻」が2.6%、「深刻」が6.2%、「やや深刻」が16.2%。合わせると25%となり、4社に1社が就業調整の影響が出ています。
今後、最低賃金も上昇し、就業調整による企業への影響はますます深刻化しそうです。収入の壁が国会で議論されていますが、働きたくても収入の壁によって働けない状況は問題です。収入の壁の迅速かつ大幅な引き上げが望まれます。
「中小企業家しんぶん」 2025年 2月 25日号より