【わが社のSDGs】社員の働きがいが企業の未来を拓く 
持続可能な成長を支えるSDGs経営 
(有)藤岡保険コンサルタント 代表取締役社長 藤岡 徹也氏(広島)

連載「わが社のSDGs」では、経営理念をもとにSDGsに取り組む企業の事例を紹介します。第22回は、(有)藤岡保険コンサルタント(藤岡徹也代表取締役社長、広島同友会会員)の取り組みです。

指示待ちからの脱却―社員が自ら動く組織へ

 (有)藤岡保険コンサルタントは、創業45年を迎える老舗の保険代理店です。藤岡氏は30歳で同友会に入会し、翌年、創業者である父の後を継ぎました。しかし、当初の経営はトップダウン型で、営業力強化のため新卒社員を積極採用しましたが、社員の自主性が育たず、退職が相次ぐ状況が続きました。

 「お客さま第一主義を掲げるあまり、知らず知らずのうちに厳しい職場環境をつくっていました」と藤岡氏は振り返ります。「ミスは許されない」「苦しい時こそ根性」という価値観が、結果的に社員を追い詰めていたのです。

 業績は右肩上がりでしたが、指示待ちの風土が根強く、社員の主体性と安心して働ける環境の構築が課題でした。

「任せる勇気」が生んだ組織の成長

 転機は突然訪れました。藤岡氏が38歳の時、「脳脊髄液減少症」という難病に倒れ、長期間にわたり経営の第一線を離れざるを得なくなりました。

 「それまで私は、会社の全てを自分で把握しなければ気が済まないタイプでした。しかし、私が第一線を離れると、社員は自主的に動き始めたのです。その時、『信じて任せることで、人は成長する』と実感しました」と藤岡氏は話します。

 経営者の意識が変わると、企業文化も変わります。社員が主体的に動く環境が整い、組織の成長が加速しました。「指示を待つ組織」から「自ら考え、行動する組織」へ。この変化が、SDGs経営の基盤となりました。

SDGs経営がもたらした企業文化の醸成

 病気を経験し、藤岡氏がたどり着いたのは「人は皆、支えられて生きている」という原点でした。その信念のもと、2022年に「DX(デジタル化)」と「GX(環境配慮)」の2つの長期ビジョンを掲げ、経済活動と環境保全の両立をめざしました。

 結果、ペーパーレス化を推進し、業務効率が向上。お客さまの利便性も高まり、社員にとっても働きやすい環境が整いました。

 また、同社の行動指針には「ありがとうの感謝の心を大切にする」という言葉があります。社員同士が互いを尊重し、価値観を共有する文化が根付いたことで、組織の一体感が高まりました。その結果、ここ3年間の社員定着率は100%を維持し、経営の安定にもつながっています。

人的資本経営とWellーbeingの実践

 同社がめざすのは、単なる業績向上ではなく、社員が健康で働く喜びを感じられるWell‐being な職場の実現です。そのために人的資本経営を推進し、社員が能力を発揮できる環境づくりに力を入れています。

 具体的には、スキルアップ支援やリスキリング研修に加え、「手挙げ文化の促進」や「心理的安全性の確保」にも取り組んでいます。さらに、エンゲージメントサーベイを導入し、社員の満足度を可視化することで、働きやすい環境の整備を進めています。

これらの取り組みを体系的にまとめ、2025年3月には人的資本経営レポートを開示予定です。企業の透明性を高め、社内外の信頼を強化し、持続的な成長を支える基盤としています。

SDGs経営の本質―利益と社会貢献の両立

 SDGs経営の本質は、利益を生み出しながら社会に貢献すること。持続的な成長を実現するには、経営者の決意と情熱が不可欠です。

 企業の成長には社員の力が欠かせません。(有)藤岡保険コンサルタントは、SDGs経営と人的資本経営を両輪とし、社員が心身ともに健康で「働く幸せ」を実感できるWell‐beingな環境づくり を進めています。そして、地域ナンバーワンの“働きがい”創造企業をめざしています。

 この取り組みが、社員やお客さま、そして地域社会にとって、よりよい未来へとつながることを願いながら、これからも歩みを続けていきます。

会社概要

創立:1979年
従業員数:7名
事業内容:損害保険・生命保険代理業
URL:https://hiroshima-fp.com/

「中小企業家しんぶん」 2025年 3月 5日号より