【企業変革支援プログラムの活用】同友会の仲間と共に企業変革を 
沖縄同友会の実践事例

 中同協は、2022年10月に『企業変革支援プログラムVer.2』を発刊しました。今回は、沖縄同友会代表理事の宮城光秀氏((有)大宮工機代表取締役)の活用事例を紹介します。

 沖縄同友会における『企業変革支援プログラムVer.2』(以下、Ver.2)の取り組みは、2023年2月に中同協経営労働副委員長/徳島同友会副代表理事の吉武恭介氏を講師にお招きして開催した学習会が始まりです。その後、私が所属する支部でもVer.2に取り組むことにしましたが、1人では継続することが難しいと思ったため、徳島同友会さんの取り組みをヒントに、みんなで一緒にやろうということになり、同年4月から私の会社の会議室で「企業変革クラブ」を始めました。

 取り組みを進めてみると、冒頭の「企業プロフィールシート」を記入するだけでも数時間かかりました。続いて、「Ⅰ経営者の責任」についても、「現在の取り組み・気づき」と「今後の取り組み」の欄まで丁寧に記入するとかなりの時間が要るということと、そうしなければ意味がない(変革につながらない)ことに気づきました。そこで私は、主に休日や夜の時間を使って、6つの「自己分析シート」をそれぞれ2~3時間ずつ充てて作成し、「変革検討シート」までを約1カ月かけて仕上げました。

 その当時、当社には10年ビジョンがなかったため、変革事項の1番目に「10年ビジョンを作成すること」を設定しました。そして、沖縄同友会の「経営指針作成講座」を約20年ぶりに再受講し、10年ビジョンを作成することから変革を始めました。その他、社員1人1人の「ありたい姿」を明確にするため、全員に「人生計画シート」と「私の役割・使命」を書いてもらい個人面談を行う。社内のコミュニケーションを活発にするため交流の機会を増やすなど、11の変革事項を担当者と期限を定めて取り組んだところ、そのうち7項目を達成することができました。

 2年目となる今年度は、6つの「自己分析シート」を改めて記入し、「変革検討シート」には、前年度達成できなかったものも含めて7項目を設定しました。今回は、初年度の半分以下の時間で各シートを記入することができました。

 当社は約20年前から経営指針に取り組んできましたが、「利益は後からついてくるもの」と考えて、明確な利益計画は立てていませんでした。しかし今回、10年ビジョンとともに中期経営目標と利益計画、そして、単年度計画を策定したことにより、社員の待遇改善、採用と共育、資金調達と設備投資などを適切かつ計画的に行うことができ、今年度(2025年4月期)は売上高、利益ともに過去最高を更新する見込みです。

 次年度は待遇改善をさらに進め、給与アップと年間休日120日などを実現する予定です。また、新たに「オンライン受発注サービス」を開始します。もし、Ver.2に取り組んでいなかったら、企業変革の重要性に気づかず、10年ビジョンや中期計画の策定にも取り組んでいなかったでしょう。Ver.2はハードルが高いと思われるかもしれませんが、時間をかけてしっかり向き合えば、必ず成果がでるプログラムです。まだの方はぜひ、同友会の仲間と共に取り組んでみてください。

沖縄同友会代表理事/(有)大宮工機代表取締役 宮城光秀

「中小企業家しんぶん」 2025年 3月 5日号より