全国支部長インタビュー 第30回 
学び合い勝たせ合う支部づくり 
中島 由美子支部長(㈱トレジャーリンク代表取締役)

 全国の支部・地区を紹介する連載企画「全国支部長インタビュー」。第30回となる今回は、東京同友会・中央区支部(中島由美子支部長)の取り組みを紹介します。

支部の紹介

 東京同友会には、現在23区それぞれと多摩地区に4つ、計27の支部があります。中央区支部会員は現在260名。東京同友会の中で最も大きな支部です。まさに東京の中心地であり、金融・小売業・観光業・外食産業・文化産業など多種多様な産業が集積している場所に位置しています。会員企業の特徴として、業種は専門サービス業が圧倒的に多く、次に情報産業が続きます。規模としては、個人事業主やスタートアップ企業から1000名近い規模まで多様ですが、昨今では組織経営をしていない企業が急増しています。そんな中でも、生涯一人親方を決め込んでいた方が同友会で学び理念経営をしていくうちに、事業が発展し雇用の必要性に迫られ従業員を雇うことになり、ご自身でも考えていなかった展開になっていったケースや、上場をした企業もあります。そういう意味では「変化・変容に富んだ支部」と言えます。

支部長の紹介

 弊社は、私が当時勤めていたシステムエンジニアリングサービスを営む会社から21年前にスピンアウトして創業した会社です。創業4年目に勢いでオープンさせたライブハウスの黒字化に苦戦していた時に、交流会で知り合った方から紹介を受け同友会に入会し、今年で12年目になります。入会後の1年間で例会や昼食会にひと通り参加したところで、同友会も大体分かったしそろそろ退会の潮時かなと思っていた時に、幹事会に出てみないかと誘われました。そして出てみた幹事会で、例会などのイベントは支部会員がすべて手作りしているということを知り驚き感動し、そこからがぜん裏方に興味が湧き、幹事会へ足繁く通うようになりました。その後は部会長を経て副支部長を5年担当し、2023年度より支部長を務めています。

仲間づくりの取り組み

 増強で言うところの「増」については5年連続で純増しています。最近では、入会して間もない方が同友会のよさを認識して知人を誘うケースや、他県同友会の方からのご紹介、Web検索にて経営を学ぶ場を探してたどり着くケースも増え、偏りのない自然な広がりが生まれてきています。「強」では、毎月5~10名ほどの新会員が入会する中で、同友会を理解する前に退会することのないよう新会員の入会目的に合わせたさまざまな施策を行っています。30年以上続く月次昼食会では、新会員2名のミニ報告と参加者全員にも自社紹介と近況報告をしていただいたり、同釜会(同じ釜の飯を食う会)と称して入会間もない5~6名の方をご招待し同期会のようにして一緒にお弁当を食べ、それぞれのニーズを聞きながら同友会の歩き方を説明。次にどこに参加したらよいかなどを一緒に検討し、新会員が自走できるまでの補助輪として機能させています。さらに支部内大学(KKD)を設置し、講義枠では、参加者にとっては学びの場、登壇者には自社コンテンツのテストマーケティングの機会として活用してもらったり、サークル枠の1つでは、会員の屋内ゴルフ練習場を借りて定期練習会や屋内コンペなどを開催しながら気軽に会員交流が図れる工夫をしたりと、会員の居場所づくりに力を入れています。今後は、やりたがりの経営者魂に火をつけ、もっとたくさんの方に楽しみながら幹事に参画してもらえるよう知恵を絞り、圧倒的な幹事不足を解消したいと考えています。

「中小企業家しんぶん」 2025年 3月 5日号より