私は25歳の時に現場監督として働き始めましたが、数年後に他社が勤務先をM&Aしました。当時の私は仕事第一、顧客第一してくれました。すると、社員が理念について考え実践し始め、仕事を終えた社員が「今日の動きって、理念に則していたかな?」と声をかけ合う姿も見られるようになりました。
下請け脱却ではなく「強下請」へ
コロナ禍では取引件数が半減し、時を同じくして元請けとの大きなトラブルまで発生して数千万円の損失が出ました。本気で倒産を考えた瞬間です。最終的にはトラブルは解決し、元請けとの取引も続いていますが、下請け脱却ではなく強い下請けになることが必要だと考えるようになりました。強い下請けとは、スーパーゼネコンの1つ下の下請企業のことで、競合は大手企業ですが、受注を狙う工事の規模や価格帯が異なるため、うまく住み分けができています。
強い下請けをめざすためには、確かな判断力と実行力が必要です。社員からも「仕事の目標、目的が分からないと不安」という声が出るようになったため、一元管理システムの導入を決めました。各自の業務プロセスを可視化し、仕事がどのように進んでいくのかを示したものです。人手不足の中、社員を決して1人にしないことも目的の1つで、「1人の天才より複数の凡人を」という考え方で取り組んでいます。
理念の浸透と新たな取り組み
VUCAの時代の中で当社ではSDGsの「安全な水とトイレを世界中に」に取り組んでおり、先日はアフリカ諸国に清潔なトイレを設置する基金に参画しました。また、こうした将来取り組みたいことを示した10年ビジョンはビジュアル化し、社員とも共有しています。
そして現状を把握するために企業変革支援プログラムを活用しています。カテゴリごと、部署ごとだけではなく、個人ごとにも集計することで目線(理念)を合わせることができるようになり、面談やグループディスカッションにも活用できています。
これからも、理念を元に社員一丸で取り組んでいきます。
(2024年度第2回中同協経営労働委員会事例報告より)
会社概要
創業:2013年
従業員数:12名(うちパート1名)
事業内容:建設設備設計・施工・保守業務、消防設備・ガス設備・内装工事全般
URL:https://circle-technos.com/
「中小企業家しんぶん」 2025年 3月 5日号より