2024年10~12月期同友会景況調査(DOR)オプション調査結果より 
景況調査の活用方法と注目点~情勢分析、自社経営の点検に景況調査の活用を~ 
明海大学経済学部教授 田浦 元(中同協企業環境研究センター委員)

DOR調査の活用状況の調査

同友会景況調査(以下、DOR調査)が、1990年に初めて調査を開始してから、35年になります。

この調査結果を掲載した「同友会景況調査報告(DOR)」報告書も、2024年第24半期(4~6月期)で150号を迎えました。DOR調査は、これまでの調査の積み重ねを重視しながら、時代に合わせた進化を続けています。大きなトピックとしては、2024年第34半期(7~9月期)調査から、ウェブ回答による調査を開始しました。

このDOR調査をさらに使いやすいものにするために、DOR調査の活用状況を調査する「DORの活用状況」調査(以下、活用状況調査)が実施されました。本稿では、この活用状況調査の結果について見ていきます。

この活用状況調査は、2024年12月1日から同年12月15日の期間に、中小企業家同友会会員企業2311社を対象に実施されました。調査方法は、郵送自計回答とウェブ自計回答の併用です。991社から有効回答を得ました。有効回答率は43%です。

DOR調査で注目している項目

DOR調査で実施されている調査項目の中で、読者である会員企業は特にどの項目について注目しているのでしょうか。活用状況調査ではこの点を明らかにするために、「DOR調査で注目している項目」を複数回答で質問しています。図1は、その結果を示したものです。

回答割合が高かったのは、「全体業況」(52%)と「業種別業況」(50%)で、「経営上の問題点・力点」(38%)がこれらに続いています。これら3項目が特に注目されていることがわかります。「トップページ」(21%)は第4位ですので、これら3項目がトップページよりも関心を得ていると言えます。「全体業況」や「業種別業況」が注目されるのはよくわかりますが、「経営上の問題点・力点」にも「トップページ」以上の関心が注がれていることは、学びの姿勢を持った同友会の会員らしい注目のしかたです。

関心のある景気動向

ところでこの「全体業況」や「業種別業況」と密接に関係するものが、景気動向です。また、DOR調査は景況調査なので、読者の大半は当然、景気動向について強い関心を持っています。では、その中でも読者は特にどの景気に関心を持っているのでしょうか。活用状況調査ではこの点を明らかにするために、「注目している景気動向」を1つだけ選択(単一回答)してもらう方式でこの点について質問しています。図2は、その結果を示したものです。

最も注目しているのは、「国内景気動向」(48%)です。この回答選択肢が最も高くなるのは当然といえば当然の結果ではありますが、回答者のおよそ半数という極めて高い回答割合となっています。次いで「自社の業界の景気動向」(29%)であり、これら2項目が特に注目されていることがわかります。第3位以降は、「直接取引先の業界の景気動向」(9%)、「エンドユーザーの景気動向」(7%)、「世界景気動向」(6%)の順ですが、いずれも1桁台の回答割合にとどまっています。

DOR調査の活用方法

ここまでは読者が調査結果のどこに特に注目しているのかを見てきました。それではこれらを読んだ後に、読者はDOR調査をどのように活用しているのでしょうか。活用状況調査ではこの点を明らかにするために、DOR調査の活用方法について複数回答で質問しています。図3は、その結果を示したものです。

「情勢分析の資料として」(49%)が、第2位以降を大きく引き離して、最も高くなっています。読者の注目が前述のとおり「全体業況」や「業種別業況」、「国内景気動向」であるとすると、これらの情報をもとにDOR調査を「情勢分析の資料として」使用することは、最も有意義な活用方法の1つでしょう。

第2位は「自社の経営状態の点検」(25%)です。この回答選択肢が上位を占めたことは、大変うれしいことです。というのもDOR調査は、実は2つの大きな目的を持って実施されているからです。

DOR調査の1つ目の目的は当然、わが国の景況動向を把握することです。しかしこれと同時に、回答企業の経営の振り返りの機会となることも、重要な2つ目の目的なのです。回答企業がDOR調査に回答することで、当期の経営の振り返りがなされることを願って、DOR調査は設計されています。筆者もこの点を重視しながらDOR調査の集計、分析や調査票の設計に携わっています。

DOR調査の調査票は、はじめは簡単に回答できる項目から始まり、当期の売上高や経常利益、人手・設備の過不足や設備投資の次期計画などに回答した後に、改めて自社の当期の景況感についてじっくりと考えてもらう構成になっています。多くの方がDOR調査を「自社の経営状態の点検」に活用しているということは、DOR調査の重要な2つ目の目的が正しく機能しているということでもあります。

他方、「あまり活用できていない」(25%)も第2位で並んでいます。

第4位以降は「同業他社の動向確認」(22%)、「自社のポジションの確認」(19%)、「会員企業の取り組みに学ぶ」(17%)、「事業計画を立てる上でのデータ」(15%)と続いています。これらに大きな開きはなく、DOR調査がこれらの方法で満遍なくさまざまに活用されていることが分かります。

DOR調査の活用場面

加えて活用状況調査ではこれら活用の方法の他に、DOR調査の活用場面についても聞いています。活用している場面を複数回答で質問したものであり、図4はその結果を示したものです。

活用場面で最も高かったのは、「幹部との話し合い」(39%)でした。次いで「取引先や顧客との話し合い」(29%)、「同友会の行事や活動」(26%)、「銀行との情報交換」(25%)、「朝礼や社内会議」(20%)となっています。

前述のとおり、結構な割合に上ったDOR調査の調査結果を「あまり活用できていない」企業は、まず「情勢分析の資料として」、あるいは「自社の経営状態の点検」として活用してみてください。

また、上記のような場面での活用を検討してみてはいかがでしょうか。

「中小企業家しんぶん」 2025年 3月 15日号より