2025年度税制改正について、2024年12月20日に与党「令和7年度税制改正大綱」が公表され、同27日に閣議決定されました。大綱には「わが国経済は、ようやく長きにわたるデフレからの脱却が見えてきた」「着実に明るい兆しが現れている」とあり、与党の日本経済における認識に疑問を呈さざるを得ません。現在、デフレからインフレ局面となり、物価高、人手不足、最賃の上昇などの影響で二極化が進んでいます。倒産件数が過去最高となる業種も少なくありません。このままではデフレ脱却の先にはスタグフレーションの可能性も出てきていると言えます。潮目が変わる局面においての政策には「悪い兆しが表れている」という認識が必要と思います。中小企業の負担を減らし、賃上げできる環境をつくり、底上げを図ること。生活者の支援では手取り収入が増えるような税制と社会保障制度への取り組みを最優先にすべきではないでしょうか。
しかしながら、2025年度の税制改正にある政策では、厳しい経営環境に直面している企業や事業者、地域を支えている中小企業・小規模事業者の事業継続を支援する内容になっておらず、逆に一層負担を強いるような改正となっています。また、物価高で苦しむ生活者や消費者においても支えるどころか実質的に負担となるような内容になっています。
収入の壁については2025年2月27日、自民党の税制調査会は自公国の3党協議で合意に至らなかったことを受けて、新たに所得税の課税最低限を、税制関連法案に盛り込んだ123万円から160万円に引き上げるとともに、非課税枠を上乗せする年収の範囲を850万円まで広げる方針を打ち出しています。上乗せの対象となるのは、納税者の8割を超える4600万人で、年収200万円以下の人は恒久的な減税措置となりますが、それを超える人は2年間の限定措置となっています。現行の基礎控除48万円から、200万円以下の人が基礎控除95万円、200万円超~475万円以下が88万円、475万円超~655万円以下が68万円、655万円超~850万円以下が63万円、850万円超が上乗せなしという方針です。なお現行では2500万円を超えると基礎控除がなくなります。基礎控除を収入によって段階的に設定し、複雑にしている税制改正となっています。このままでは、かなり複雑な収入の壁ができてしまいます。
基礎控除については「憲法25条の生存権を保障するための最低生活費」の控除ということからすると、収入に関係なく一定額であるべきです。生存権を根拠とする生活保護費より低い基礎控除は引き上げるべきであり、少なくとも今回の与党提案にある200万円以下に設定した基礎控除95万円は、恒久的に収入に関係なく適用されるべきではないでしょうか。
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「中小企業家しんぶん」 2025年 3月 15日号より









