【変革と挑戦】
地域のさまざまな社会課題に向き合う 
ソーシャルインクルージョン委員会(京都)

 京都同友会は1984年に障害者問題委員会を設立します。当初の活動目的として(1)障害者雇用を中心とする諸問題と向き合う、(2)会社・家族で障害者を抱えている方の改善点を考える、(3)中小企業家がこの問題にどのように取り組むのか、を掲げ活動してきました。

 2010年ごろより、障害者問題委員会が児童養護施設で暮らす子どもたちを対象に適職探索支援、適人探索支援活動に取り組むようになり、2014年にソーシャルインクルージョン委員会に名称変更することになります。変更にあたっては、「障害者問題も不十分なのになぜ活動の幅を広げるのか?」「障害者問題を後回しにするのでは?」「私は障害者問題にしか関心がない」などの反対意見が出されました。そうした議論の中で「障害者という専門的なテーマを扱う委員会ではなく、地域のさまざまな社会課題に向き合う委員会にしよう」ということで名称変更に至りました。

 ソーシャルインクルージョンとは社会的包摂と訳され、「社会的に全ての人を包み込み、誰も排除されることなく、全員が社会に参画する機会を持つ」を理念としています。社会で働きにくさを抱えているのは障害がある方だけでなく、ニート・ひきこもり、児童養護施設で暮らす子どもたち、難病を抱える方、刑余者(元受刑者)など多岐にわたり、働きにくさを抱えているすべての人が、働くことで幸せを実感できる社会を実現するために活動に取り組んでいます。

 ソーシャルインクルージョン委員会には、「障害者就労部会」「多様な働き方推進部会」「社会的養護部会」の3部会があります。障害者就労部会では、障害者の就労・実習のマッチングから定着支援のためのネットワークづくりや特別支援学校・就労支援事業所との連携を行っています。多様な働き方推進部会では、就労支援機関・地域団体・行政機関と連携・支援ネットワークの構築・推進を図っており、社会的養護部会では児童養護施設への定期訪問・就労体験実習受け入れを行っています。

 「国民や地域と共に歩む中小企業」をめざすわれわれ同友会だからこそ、ソーシャルインクルージョンの精神を掲げ、地域課題を企業課題として捉え、幸せの見える地域社会をめざすこと、すなわち「人間尊重の経営」が必要となってくるのではないでしょうか。

「中小企業家しんぶん」 2025年 3月 15日号より