【あっこんな会社あったんだ!】外国人材 
社員の8割が外国人~多国籍の職場で実践する「人を生かす経営」 
(株)赤原製作所 代表取締役 赤原 宗一郎氏(神奈川)

 企画「あっ!こんな会社あったんだ」では、企業経営に関わるさまざまな専門課題に取り組む企業事例を紹介しています。今回は「外国人材」をテーマに、赤原宗一郎氏((株)赤原製作所代表取締役、神奈川同友会会員)の実践を紹介します。

 (株)赤原製作所は、創業から約100年の歴史を持つ板金加工業の会社です。赤原氏は2005年に入社し、2014年から社長として経営を担っています。同社の特徴の1つは、社員の約8割を外国人材が占めていることです。

外国人材の活用と定着

 同社が外国人材を雇用し始めたのは1990年代初頭。1990年の入国管理法改正を機に、人材不足を背景として積極的に外国人材の採用を進めました。今では外国人材が同社の主力となっています。採用の多くは社員の紹介によるもので、社員の家族や親族が入社するケースもあります。「紹介された人は、紹介した人や会社に恩を感じてくれるからか、定着率が高い」と赤原氏は言います。また、「国籍ではなく、その人自身を見る」という方針から、日本人と同等の給与を支給し、査定や昇進も公平に行っています。管理職として活躍している外国人材も多数います。

 一方で、日本語の習得状況には個人差があり、指針の浸透は難しいという問題があります。そこで、同社では毎週月曜日の朝礼で経営理念を唱和し、「迷ったら経営理念に立ち返る」という文化を根付かせています。また、働きやすい環境づくりの一環として、休日制度の見直しを行いました。かつては隔週土曜日が出勤日でしたが、現在は年間休日を116日まで増やしました。また、「もうかったら社員に還元する」という信条のもと、年2回の賞与に加えて、決算賞与も支給しています。

成長の軌跡

 赤原氏の入社当時、同社の売り上げは約5億円。その後7億円まで成長しましたが、リーマンショック後、2期連続の赤字を計上しました。しかし、リーマンショック前に行った設備投資が功を奏したこと、また、自社をアピールするために展示会や商談会に積極的に出るようになったことにより経営の立て直しに成功。その後の東日本大震災の際には、がれき除去のための建設需要が高まり、その際に出合った上場企業2社とは現在も取引が続いています。現在の売り上げは約14億円。「顧客の棚卸しを行いながら、常に新規顧客の開拓を進め、取引先を分散させている」と赤原氏は語ります。

同友会での学び

 赤原氏が同友会に入会したのは2012年。「さまざまな人と出会い、決算書を見せ合える仲間ができた」と笑顔で語ります。会社をよりよくするため、同友会での学びを経営に生かし、社員の自主性を重んじることを意識していると言います。相談があれば「まず自分はどうしたいのか」と問いかけるようにしており、中小企業ならではの、社長と社員の顔が見える関係を大切にしています。「せっかくなら、この会社でよかったと思ってほしい。そのために、自分で考え、自分の会社だと思えるようになってほしい。答えを探すのではなく、確率の高い選択をすることが大切だと伝えたい」と赤原氏は強調します。

地域との関わりと今後の展望

 同社は地域とのつながりも大切にしています。2018年からは、地域住民と良好な関係を築き、地元企業の存在を知ってもらうことを目的に「座間わくわく町工場」というイベントを開催。自社工場を開放し、近隣の製造業や福祉系の企業と協力して、子どもたちにモノづくりの楽しさを伝えています。コロナ禍は中止を余儀なくされましたが、昨年は約2000人が来場し、同社は溶接体験を提供しました。社員10数名が自主的にイベントに関わってくれていると言います。

 今後の展望としては、最新の設備導入を進めながら、新規顧客の開拓にさらに注力する予定です。「常に進化し続けることで、お客さまの期待に応えられる会社でありたい」と赤原氏は意気込みます。国籍を問わない「人を生かす経営」を実践する赤原製作所は、今後も地域と共に歩んでいきます。

会社概要

設立:1960年
資本金:1,000万円
従業員数:60名
事業内容:金属製品製造
URL:https://akahara.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2025年 4月 15日号より