すべての人が働きやすい職場の実現へ 企業・支援機関・支援学校が意見交換 第10回障害者雇用フォーラム(群馬)

 3月27日、群馬同友会障害者雇用委員会は、いかほ秀水園を会場に「第10回障害者雇用フォーラムin北毛」を開催しました。北毛地域を中心とする会員経営者、県内各地の障害者支援機関の職員や特別支援学校の教諭など約25名が集まり、立場の違いによる障害者雇用への認識や具体例などを交流しました。

 西岡副委員長は、趣旨説明の中で「DE&Iは、多様性・公平性・包括性の頭文字。多様な人材が働く組織において、それぞれに合わせた対応をとり、それぞれが成果を出し続けるための考え方」と語り、開催テーマを改めて確認。その後、一般社団法人インクルーシブコミュニティ協会・新井清義氏がコーディネーターを務め、一般社団法人ワークスタジオ群馬・笠井勇哉氏と(株)ヒルズ伊勢崎・石原秀樹氏(障害者雇用委員長)の2名をパネラーにパネルディスカッションを行いました。

 はじめに、障害者雇用を取り巻く問題点として「改善されてきたとはいえ、障害者に対する偏見は拭い切れていない」「雇用される側の教育不足も見受けられる。パフォーマンスの向上も必要」といった点が挙げられました。また、障害者雇用の具体例として、一般雇用に取り組む石原氏は「本人の特性に合わせた合理的配慮は必須。結果的に、その配慮が他の従業員の働きやすさにもつながっている」と事例を交えて紹介。支援する立場から笠井氏は、障害者が退職する理由について「特性への無理解や孤立を感じてしまうケースが多い。ただし、企業側からは特性と本人の甘えの線引きが難しいという声も寄せられる」と語りました。

 今後の展望としては「経営者はもちろん、従業員を含めた正しい知識の習得が企業側に求められる」「支援側は社会に出るための質の高い教育訓練の拡充が必要」などが挙げられ、最後に新井氏が「まずは知ることと関わりを持つこと。障害者雇用への理解を広め、社会の偏見をなくしていきたい」とパネルディスカッションをまとめました。

 その後は「社員が働きやすくなる合理的配慮をしていますか?」をテーマにグループ討論を実施。経営者や支援機関の職員、支援学校の先生など、それぞれの立場や視点から活発な意見交換が行われました。

 参加者アンケートには「合理的配慮は障害の有無にかかわらず全ての社員に対して有用」「企業向けの啓発支援の必要性を改めて痛感した」「障害者(雇用)に対する理解度の低さが課題」「企業側・支援側の意見交換は大切。お互いを知ることが第一歩となる」といった感想がつづられていました。

「中小企業家しんぶん」 2025年 4月 25日号より