岡山同友会は4月9日、経営労働委員会・社員教育求人委員会・障害者問題委員会の合同学習会を開催しました。当日は3人の委員長による鼎談(ていだん)形式により、発表から半世紀を経た『労使見解』の時代を超越した普遍性をあらためて問い直すとともに、その今日的意義について意見を交わしました。
冒頭、松本直也・経営労働委員長から本日の論点として「(1)労使見解はどこまで普遍的なのか」「(2)労使見解の発表から50年が経ってわれわれ中小企業は進歩したのか」「(3)先人は労使見解を聖典にしたかったのか」の3点を提示。その上で、「現代において『労働者の生活を保障する』とはどういうことか?(経営者の責任)」「急速に自動化・合理化が進む中で、社員の自発性と創意性をどのように引き出せばいいのか?(労使における新しい問題)」「われわれは誰から何を期待されているのか?(中小企業における労働運動へのわれわれの期待)」などについて、3人の見解を披露し合いました。
浅野浩一・社員教育求人委員長は「賃金だけではなく『可処分時間』の保障も必要。しかしそれ以上に大切なのは社員のやりがいと成長の保障」「社員1人1人が自分の頭で考える機会を提供するだけではなく、その仕組みを構築することが課題」などと述べました。
また和佐田歩・障害者問題委員長は「まず社員とその家族の期待に応えられてこそ地域の期待にも応えられる」「地元の総社市では障害者雇用の推進によって人口が増えた。企業が社会の課題に関わることで地域を変えることができると実感した」などと話しました。
その後のグループ討論を経て、最後に松本氏が「労使見解は同友会の考え方の根幹を成すものではあるが、思考を停止して絶対視するのではなく、時代や社会の価値観の変化に応じてその解釈を更新し続ける必要がある」「先人は後代の経営者に対して『労使見解』を聖典のようにあがめ奉ることを期待したわけではないはず。私たちに求められているのは、常に『今、この局面において経営者としてどうあるべきか』を自問し、悩んだ時にはその都度『労使見解』に立ち返り、次に進むことではないか」と締めくくり、閉会しました。
「中小企業家しんぶん」 2025年 5月 5日号より