【代表理事に聞く】「人を生かす経営の総合実践」の原点 
(株)ピアライフ 代表取締役 永井 茂一氏(滋賀)

 各同友会の代表理事による新連載「代表理事に聞く」。今回は(株)ピアライフ(永井茂一代表取締役、滋賀同友会)の実践です。

人は人によって磨かれる

 同友会に入会して30年が過ぎました。創業間もない債務超過だった会社を引き継ぎ、経営を知らないまま社長になりました。今振り返ってみると、経営者として多くのことを学び、それを1つずつ実践する中で「よい会社」「よい経営者」に近づいてきたような気がしています。

 同友会に入会するまで、私は、経営とは「お金を稼ぐ手段」くらいにしか考えていない社長でした。経営を知らないわけですから“経営者”とは言えません。社員も3名しかいませんでしたが、社内はバラバラ感がありました。“人を生かす経営”どころか、目を輝かせて入社してきた社員すら目を曇らせて辞めていく、いわば“人を生かせない経営”をしていたような気がします。先輩経営者から「同友会は、経営者を磨く場だ!」「ダイヤモンドはダイヤモンドで磨くように、人は人によって磨かれる」、そして「組織的経営を学ぶところだ」と教えられました。

頼まれごとは試されごと

 入会して、できるだけ例会に参加するようになると役が回ってきます。「頼まれごとは試されごと」と言われたため、支部の運営委員から例会委員、組織活性化委員、そして各委員長と役職を受ける中で、計画書を作ったり、会議を開催したり、チラシから資料づくりと、組織運営に必要な多くを学び得たような気がします。会員訪問すると、いかにわが社は清掃が行き届いておらず汚いことや、社員が起立してあいさつするなどの社員教育すらできていないことなど多くのことを学びました。

 社員の採用に関しても「頑張って働いたら給料が上がるぞ」程度のことしか伝えられない経営者で、会社の社会的存在意義やビジョン、ましてや、「何のために」「何をめざして」経営するのか、働くのかということすら考えていない経営者でした。

“経営指針成文化運動”の出発点

 入会して8年目に、経営労働委員長をやってもらえないかと声がかかりました。「まだ私はその器では…」と答えたところ、「君ができるから頼むのではない。役を受けてもっと成長したらどうだということだ」と言われました。「いま全国的に“経営指針の成文化運動”が進んできているが、滋賀同友会にはまだその組織ができていない。せっかく経営労働委員長を引き受けてくれるのなら、同友会運動の学びを深めるために、宮城同友会から学んで活性化してきている富山同友会の“経営指針を創る会”に参加して、自らの経営指針づくりを学ぶとともに、滋賀同友会で“経営指針を創る会”を開催してくれないか」という言葉がきっかけとなり、滋賀県大津市から富山まで片道3時間半かけて、受講生として半年、OBとして1年の約1年半参加し、前泊を含め毎月2泊3日で富山同友会に通いました。そして、その富山同友会での学びが、今日の滋賀同友会の“経営指針成文化運動”の出発点となりました。

学びと役の量

 こうして、経営労働委員長を4年、共育委員長を4年、支部長を4年、副代表理事、代表理事とお役をいただく中で、成長させていただくことができたと思っています。今振り返ってみると、“経営指針の成文化とその実践”から始まり、“社員共育”“新卒採用”そして、“障害者雇用”と、『人を生かす経営の総合実践』ができる組織へと成長できたのは、「学びと役の量」が経営者を成長させ、そして「よい経営環境」をめざす仲間が増えることが豊かな地域づくりにつながっていくと確信できるようになったからだと思います。

会社概要

設立:1990年
資本金:4,000万円
社員数:33名
事業内容:不動産売買仲介・賃貸仲介/管理・建築・分譲・開発・リフォーム事業
URL:https://www.pialife.co.jp

「中小企業家しんぶん」 2025年 5月 5日号より