4月17日、長崎同友会第54回定時総会が開催されました。第1部で総会の各議事を承認。第2部では、沖縄同友会代表理事で(株)赤マルソウ代表取締役社長の座間味亮氏が記念講演を行いました。(株)赤マルソウは座間味氏の祖父にあたる具志堅宗精さんが74年前に具志堅醤油合名会社として設立、その後沖縄ビール(株)(現・オリオンビール(株))も設立し、現在ではグループ会社が11社と沖縄の老舗の会社です。
座間味氏は、自分が後継すると思ってもいなかった会社を叔父にあたる前社長から引き継ぎましたが、社員の離職や取引で詐欺に遭うなど色々な苦労を経験。経営をもっと勉強しなければと思ったときに同友会と出合います。那覇支部の女性支部長の、年齢に関係なく学ぶ姿勢と覚悟に度肝を抜かれ、同友会は本気で学ぶ姿勢が違うと感じたと言います。入会して経営理念をつくったことで自分自身が変わり、会社が車の両輪のように回っていくようになったと話します。新卒者の採用や同友会役員の経験、同友会の学びを実践することで会社が大きく変化してきたと振り返りますが、そんな中、妻にがんが見つかり余命宣告されます。「家族を幸せにできない社長が社員を幸せになんかできない」と支部長の役職を退任したいと申し出ましたが、同友会の仲間から「みんなで協力するから」と言われて支部長を続行。「活動も仕事もほぼせずに妻との最後の時間を思い出づくりに専念できたのは社員さん、同友会の仲間がいたからだ」と語る座間味氏の言葉に、会場の多くの会員が涙を流しました。
今では幹部社員も同友会活動に参加して一緒に学び、会社経営がますます活性化しているとのこと。座間味氏は「人生のターニングポイントにはいつも同友会があった」と語り、「波乱万丈の人生でも周りに助けてくれる人たちがいる。これからは皆さまに恩返しをしたい」と決意を新たにしました。「生きる、暮らしを守る、人間らしく生きる」―この安心できる同友会という会で、社員と家族が共に育ちながら人を生かす経営を学べることはとても幸せなことだと会場全体が感じていました。
これから新年度がスタートしますが、あらためて同友会の素晴らしさをたくさんの人に伝えたいと誰もが思える記念講演でした。
「中小企業家しんぶん」 2025年 5月 15日号より